□マロリー・ワイス症候群(Mallory-Weiss syndrome)は,上部消化管出血をきたす疾患のひとつ(4~10%)1)2)で,緊急内視鏡止血術を要する疾患である。
□激しい嘔吐に伴う急激な腹腔および胃の内圧上昇により胃が食道側に反転し,胃食道接合部周囲粘膜が過進展することで同部位に裂創および出血をきたし,吐下血の原因となる。
□飲酒後の嘔吐でみられることが多い。吐血という派手な症状のわりに,臨床的な障害は比較的軽度であることが多い。
□吐血。吐血に先行し嘔吐を伴う。典型例では飲酒後の嘔吐であるが,咳嗽,くしゃみ,吃逆,出産や排便時のいきみ,腹部打撲なども起因となりうる。医原性に内視鏡検査治療後に生じることもある。吐血などの症状が激しいが,内視鏡所見や,必要な治療は軽度であることが多い。
□上部消化管内視鏡にて胃食道接合部付近に縦走裂創を認める。小弯側が最も多いとされ3),粘膜筋板断裂を有しないものは線状,有するものは紡錘状の裂創となる。
□通常は貧血をきたすほどの出血は少ないが,断裂(紡錘状)症例は大量出血を伴うことが多い。
1190疾患を網羅した最新版
1252専門家による 私の治療 2021-22年度版 好評発売中
PDF版(本体7,000円+税)の詳細・ご購入は
➡コチラより