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マロリー・ワイス症候群

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-06
高林英日己 (埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科講師)
岡 政志 (埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科教授)
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  • ■疾患メモ

    マロリー・ワイス症候群(Mallory-Weiss syndrome)は,上部消化管出血をきたす疾患のひとつ(4~10%)1)2)で,緊急内視鏡止血術を要する疾患である。

    激しい嘔吐に伴う急激な腹腔および胃の内圧上昇により胃が食道側に反転し,胃食道接合部周囲粘膜が過進展することで同部位に裂創および出血をきたし,吐下血の原因となる。

    飲酒後の嘔吐でみられることが多い。吐血という派手な症状のわりに,臨床的な障害は比較的軽度であることが多い。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    吐血。吐血に先行し嘔吐を伴う。典型例では飲酒後の嘔吐であるが,咳嗽,くしゃみ,吃逆,出産や排便時のいきみ,腹部打撲なども起因となりうる。医原性に内視鏡検査治療後に生じることもある。吐血などの症状が激しいが,内視鏡所見や,必要な治療は軽度であることが多い。

    【検査所見】

    上部消化管内視鏡にて胃食道接合部付近に縦走裂創を認める。小弯側が最も多いとされ3),粘膜筋板断裂を有しないものは線状,有するものは紡錘状の裂創となる。

    通常は貧血をきたすほどの出血は少ないが,断裂(紡錘状)症例は大量出血を伴うことが多い。

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