□IgA腎症は,血尿・蛋白尿が持続し腎機能が低下していく慢性メサンギウム増殖性糸球体腎炎である。経過とともに高血圧や腎不全を呈することがある。
□確定診断と腎障害の程度・治療方針の決定には,腎生検での組織診断が必須である。
□糸球体メサンギウム領域に多量体IgA(IgA1)の優位な顆粒状沈着を示す。
□顕微鏡的血尿と蛋白尿を示し,一般的には緩徐に進行する。
□急性の上気道炎や扁桃炎などを契機に肉眼的血尿や蛋白尿を呈し,増悪することがある。
□顕微鏡的血尿は,早期または活動性の強い患者ではほぼ全例に認められる。糸球体障害の進行例では,変形の強い赤血球(糸球体性血尿)がみられる1)。
□血尿とともに蛋白尿がみられるようになり,さらに病変が進行すると血尿は軽度ないし消失し,蛋白尿のみが持続することが多い。
□尿沈渣赤血球5個/HPF以上,尿蛋白0.3g/日以上,血清IgA 315mg/dL以上,血清IgA/C3比3.01以上の項目のうち,3~4項目を満たす症例は本症である確率が高い2)。
□血清シスタチンCは,血清クレアチニンよりも糸球体障害の早期診断に適している。血清クレアチニン・シスタチンC値から推算糸球体濾過量(eGFR)を求める。
□イヌリンという物質は,糸球体からすべて濾過され尿細管では再吸収も排泄もされないことから,イヌリンクリアランスはGFR測定のゴールドスタンダードである。
□第一に非侵襲性の腎超音波検査が行われ3),腎硬化が進行すると腎の萎縮が認められる。
□腎組織の光顕・電顕・蛍光抗体法的観察により確定診断がなされる。
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