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アミロイド腎症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-19
高市憲明 (虎の門病院副院長)
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  • ■疾患メモ

    アミロイドーシスとは,前駆蛋白が重合し不溶性のアミロイド蛋白となり,様々な臓器に沈着することを通じて臓器障害を引き起こす疾患である。アミロイド腎症はアミロイド蛋白が腎に沈着した場合に生じる。前駆蛋白の種類等により分類される。

    アミロイドーシス:免疫グロブリンの軽鎖(light chain)を前駆蛋白とする。

    AAアミロイドーシス:関節リウマチなどの慢性炎症性疾患で血漿中に増加する血清アミロイドA(SAA)蛋白を前駆蛋白とする。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    アミロイド腎症は蛋白尿,腎機能障害で発見されることが多い。尿沈渣異常は乏しいことが多い。

    〈ALアミロイドーシス〉

    ALアミロイドーシスの場合は,原因となる病態により様々な症状・検査所見を呈する。

    MGUS(monoclonal gammopathy of undetermined significance),もしくは多発性骨髄腫に合併することが多い。

    MGUSでは軽度のM蛋白血症を認め,多発性骨髄腫ではM蛋白血症に加え多発性骨髄腫に伴う様々な症状を呈することがある。

    〈AAアミロイドーシス〉

    AAアミロイドーシスの場合は,慢性炎症性疾患が背景に存在する。かつては結核等の感染症が多かったが,現在は関節リウマチが原疾患である頻度が最も高い。

    SAAが高値となり,原疾患により様々な症状を呈する。

    【検査所見】

    アミロイドーシスは組織学的にアミロイドを証明することによって行われる。腎組織では糸球体や間質血管壁などにアミロイドが沈着することが多い。糸球体への沈着が少ない場合は蛋白尿が軽度のこともある。

    アミロイドは光学顕微鏡下ではコンゴレッド染色で濃紅色に染まり,偏光顕微鏡では緑色の重屈折性を示す。また,電子顕微鏡下では細線維構造を呈する。

    治療法を決定するうえで,原因となるアミロイド蛋白の同定が重要である。AAアミロイドーシスとALアミロイドーシスの鑑別に,過マンガン酸処理後のコンゴレッド染色における染色性の変化の有無が用いられることが多いが,この鑑別法は特異性が低いので,可能な限り特殊抗体を用いることなどによりアミロイドのタイプ分けを行うことが望ましい。

    【診断】

    アミロイドーシスを引き起こしている病態の診断を行う。ALアミロイドーシスの場合はM蛋白の存在を血清や尿で証明し,さらに必要に応じて骨髄検査等でその原因となっている病態を明らかにする。血清M蛋白を検出するうえでは,フリーライトチェーン(遊離軽鎖)の測定や免疫固定法が,免疫電気泳動法より感度が高いことが多い。

    AAアミロイドーシスの場合はSAAが高値となるが,SAAは炎症が存在すれば上昇するので,SAAが高いことのみではAAアミロイドーシスと診断することはできない。原因となる慢性炎症性疾患の病態を明らかにすることが重要である。

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