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慢性尿細管間質性腎炎

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-19
石井 輝 (京都大学大学院医学研究科腎臓内科学講座)
中田紘介 (京都大学大学院医学研究科腎臓内科学講座)
横井秀基 (京都大学大学院医学研究科腎臓内科学講座講師)
柳田素子 (京都大学大学院医学研究科腎臓内科学講座教授)
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  • ■疾患メモ

    尿細管間質性腎炎(tubulointerstitial nephritis:TIN)は病理形態学的概念で,尿細管あるいは間質の炎症を主体とする腎病変の総称である。

    慢性尿細管間質性腎炎(chronic tubulointerstitial nephritis:CTIN)は間質の線維化,尿細管の萎縮,炎症細胞浸潤といった慢性病変を呈する疾患群で,緩徐に発症し,進行性の腎機能低下を示す。慢性腎臓病(CKD)の原因の1つであり,慢性腎不全に至ることもある。

    原因は,薬剤,感染症(慢性腎盂腎炎など),免疫性疾患(全身性エリテマトーデス;SLE,シェーグレン症候群,サルコイドーシス,IgG4関連疾患など),腫瘍(多発性骨髄腫など),重金属(鉛,カドミウムなど),代謝異常(低カリウム血症,高カルシウム血症,高尿酸血症など),遺伝性疾患(シスチン尿症,アルポート症候群など),逆流性腎症等と多岐にわたる1)

    原因薬剤として,NSAIDsやアセトアミノフェンなどの鎮痛薬,シクロスポリンなどの免疫抑制薬,リチウム,シスプラチンなどの抗腫瘍薬に加えて,Chinese herbs nephropathyの原因物質とされるアリストロキア酸なども挙げられる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    ほとんどの場合,無症状。ただし,尿濃縮能障害により夜間多尿を認めることがある。

    末梢の浮腫は稀である。

    【検査所見】

    血清クレアチニン値の上昇に加えて,障害尿細管の部位に応じて代謝性アシドーシスや電解質異常(低カリウム血症)を伴うことがある。

    尿細管間質にはエリスロポエチン(EPO)産生細胞が分布するため2),腎性貧血が早期に出現することもある。

    尿蛋白は1g/日以下が多く,血尿や白血球尿はあまり認められない。β2ミクログロブリンやα1ミクログロブリン,N-アセチルグルコサミニダーゼなどの尿細管障害マーカーの尿中排泄量増加を認める。

    画像上は腎萎縮を認めることが多い。エコーでは腎皮質の菲薄化とエコーレベルの上昇を認める。

    炎症性疾患が基盤にある場合,ガリウムシンチグラフィやFDG-PET検査で陽性となることがある。

    病理所見は,びまん性の間質線維化と尿細管基底膜肥厚を伴う尿細管萎縮が特徴的で,様々な炎症細胞浸潤を伴う。

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