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急性尿細管壊死・腎皮質壊死

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-16
松原 雄 (京都大学大学院医学研究科腎臓内科学講座講師)
柳田素子 (京都大学大学院医学研究科腎臓内科学講座教授)
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  • Ⅰ.急性尿細管壊死

    ■疾患メモ

    急性尿細管壊死(acute tubular necrosis:ATN)は,腎前性急性腎障害とともに急性腎障害の原因の1つである。入院中に起こる急性腎障害の原因は急性尿細管壊死45%,腎前性腎障害21%,慢性腎障害の急性増悪13%,尿路閉塞10%,糸球体腎炎と血管炎4%,急性間質性腎炎2%,コレステロール塞栓症1%となっている1)

    肉眼的に腎は腫大し,髄質は暗赤色,皮質は蒼白と,皮髄境界部が目立つ。顕微鏡的には尿細管上皮の腫大と刷子縁の消失,細胞脱落が認められる。

    急性尿細管壊死の原因は,腎臓の低灌流と腎毒性物質の曝露に大別される。

    腎の低灌流の原因としては,手術,敗血症,出血による低血圧などが挙げられる。

    腎毒性物質としては外因性物質(アミノグリコシド,造影剤,白金製剤,アムホテリシン,ペンタミジン,バンコマイシン,ホスカルネット,イホスファミド,アシクロビル)と,内因性物質(ヘモグロビン尿,ミオグロビン尿,尿酸結晶)に分けられる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    軽度の場合はクレアチニン上昇,尿量減少などの検査異常のみが多い。

    中等度以上になると多様な症状が尿毒症症状として出現する。臨床上問題となるのは,消化器症状(悪心・嘔吐・食欲不振・下痢),中枢神経症状(意欲低下・意識障害),心外膜炎,出血傾向などである。

    特に,水や塩分の蓄積による体液過剰や,高カリウム血症,代謝性アシドーシスは,しばしば致死的症状につながるため注意が必要である。

    【検査所見】

    急性腎障害はクレアチニンの上昇や尿量減少によって容易に診断可能である。

    急性腎障害と診断されたら,まず①尿路閉塞を除外する。次に②急性尿細管壊死と腎前性急性腎障害を鑑別するが,のように尿所見やFENa,FEUNがしばしば有用となる。

    07_16_急性尿細管壊死・腎皮質壊死

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