□ギテルマン症候群は,低カリウム血症,低マグネシウム血症,代謝性アルカローシスを特徴的所見とする遺伝性腎尿細管機能異常症である1)。
□原因遺伝子は,これまで遠位曲尿細管に局在するナトリウム再吸収に重要なサイアザイド感受性Na-Cl共輸送体(TSC,SLC12A3)のみ報告されている。
□病態の本態はこの輸送体機能低下による尿中塩分喪失であり,随伴する低カリウム血症,低マグネシウム血症による筋麻痺,テタニーで気づくことが多い。
□思春期以降の発症が一般的である。発症率は知られていないが,遺伝性尿細管機能異常症の中では最も多くみられる。生命予後は良好である。
□小児期から思春期以降に発症するが,多くの症例では思春期以降に発症し,低カリウム血症による脱力,筋力低下,代謝性アルカローシス,低マグネシウム血症(0.75mmol/L以下)によるテタニーを初発症状として発症することが多い。
□成長障害は多くの症例でみられない。
□低マグネシウム血症による関節痛発作で発症する例が稀にみられるが,原著や実験動物にあるようなマグネシウム欠乏による皮膚炎症状は通常みられない。
□他の疾患で医療機関を受診し,採血により偶然低カリウム血症を指摘される場合などがある。
□腎障害は軽度にとどまる。
□低カリウム血症の持続によると思われる耐糖能障害がみられる症例にしばしば遭遇するが,発症率が有意に高いという報告はない。
□血液データでは,電解質異常に加えて,高レニン血症,正常~高アルドステロン血症を認めるが,単に塩分喪失により生じるもので,利尿薬乱用などでも同様であり,診断価値はない。
□鑑別として,尿中カルシウム排泄量の低下(尿中カルシウム排泄量30mg/g Cr以下)はバーター(Bartter)症候群との,尿中クロール排泄量が10mEq/L以上であることは習慣性嘔吐などの摂食異常との判断に各々必須である。
□確定診断には,最大水利尿時の利尿薬反応性でフロセミドに対して正常に反応し,サイアザイド系利尿薬に低反応であることと,遺伝子診断により行われる。なお,遺伝子診断ではエクソンに明らかな異常を認めない場合も多い。
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