□血清ナトリウム(Na)濃度が145mEq/L以上の状態を高Na血症という。
□血清Na量が血清水分量に比べて相対的に高くなった状態を示し,発症機序は①体内水分の欠乏,②Na過剰負荷のどちらかである。
□高Na血症の状態となると口渇感が生じることによって水分摂取量が増加し,また細胞外液量の低下によって血漿浸透圧が上昇すると抗利尿ホルモンの分泌が亢進することで尿の濃縮や排泄量の減少が生じ,血清Na濃度は補正されることから,日常診療では高Na血症に遭遇することは少ない。
□軽症:口渇感,無気力,倦怠感など。
□中等症~重症:高熱,脱力,傾眠,精神障害(不穏・錯乱),全身痙攣,昏睡,呼吸抑制など。
□体内水分欠乏が原因の場合:体重減少,尿量減少,皮膚乾燥(ツルゴール低下),頸静脈の虚脱など。
□血清Na濃度が高値(180mEq/L以上)になると死亡率は高くなると言われる。
□症状の重症度は同時点の血清Na濃度の絶対値とは一致しないことも多く,血清Na濃度の上昇速度が重症度に影響しているとされる(慢性の経過の場合には症状が乏しいこともある)。
□細胞外液量を評価し,さらに尿浸透圧,尿中Na濃度,尿量の評価を行う。
□Naと水分の両者を喪失する場合(腎性の喪失の場合):等浸透圧もしくは低浸透圧尿を示し,尿中Na濃度は20mEq/L以上となる。
□Naと水分の両者を喪失する場合(腎外性の喪失の場合):高浸透圧尿を示し,尿中Na濃度は10mEq/L以下となる。
□水分のみを喪失する場合:尿浸透圧や尿中Na濃度には一定の傾向はなく,抗利尿ホルモンの測定や反応性を評価する。
□Na過剰負荷の場合:細胞外液量が増加し,尿中Na排泄は亢進している。
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