□急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)は骨髄系前駆細胞の単クローン性増殖と成熟細胞への分化停止を特徴とする造血器悪性腫瘍である。腫瘍細胞は骨髄,末梢血,組織において増殖し,正常造血は著明に抑制される。
□世界的にAMLの年間発症率は10万人当たり3~5人で年齢中央値は60~65歳である。成人急性白血病の80~90%を占める。発症率は年齢とともに増加し,特に50歳以降で急増する。
□AMLに特徴的な初発症状はない。全身倦怠感,発熱,感冒様症状などである。
□血球減少に起因する症状(感染,出血,貧血)が出現する。
□通常,リンパ節腫脹,著明な肝腫大や巨脾はみられない。
□白血球数は半数で増加し,芽球が出現する〔白血病裂孔(hiatus leukemics)〕。
□末梢血では正球性正色素性貧血,血小板減少がみられる。
□腫瘍量に応じて乳酸脱水素酵素や尿酸が上昇する。
□通常過形成である。
□骨髄での芽球比率はFAB分類で30%以上,WHO分類で20%以上となる。
□芽球はペルオキシダーゼ染色陽性である。細胞質内にauer rodを認めることがある。
□芽球の表面マーカーはCD13,CD33,HLA-DRが陽性となる。CD34もしばしば陽性となる。
□急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia:APL)では,auer rodが束になった特徴的な前骨髄球が増加する(faggot cell)。HLA-DR,CD34は通常陰性となる。
□AMLに特徴的な染色体異常としてt(8;21)(q22;q22),inv(16)(p13.1q22)またはt(16;16)(p13.1;q22),
t(15;17)(q22;q12)があり,CBF(core binding factor)白血病とされ,いずれも予後良好群に属する。これらの染色体異常が認められた場合は,芽球比率にかかわらずAMLと診断する。
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