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急性白血病(小児)[私の治療]

No.5230 (2024年07月20日発行) P.42

大嶋宏一 (埼玉県立小児医療センター血液・腫瘍科医長)

登録日: 2024-07-23

最終更新日: 2024-07-16

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  • 急性白血病は小児悪性腫瘍の中で最も多い疾患であり,急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia:ALL)が約70%,急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)が約25%と,その大部分を占める。小児ALLの約85%はB前駆細胞性ALL(BCP-ALL)で,10~15%がT細胞性ALL(T-ALL)である1)2)
    小児のBCP-ALLでは全体の約90%以上の長期生存率が期待されるが,AML全体の長期生存率は約60~70%にとどまる。これらの疾患の長期生存率をさらに改善するためには,適切にデザインされた先見的な臨床試験が不可欠である。また,白血病サバイバーの増加とともに,晩期合併症や二次がんのリスクだけではなく,心理社会的,経済的および医療アクセスなどの問題に配慮した長期フォローアップの重要性も高まっている1)2)

    ▶診断のポイント2)

    【症状】

    白血病細胞の増殖による症状として発熱,疼痛,肝脾腫,リンパ節腫脹,睾丸腫大などがあり,正常造血の機能の低下によるものとして,出血傾向,貧血,易感染性などがある。

    【検査所見】

    診断には,まず末梢血液検査を行い,白血病の疑いがあれば骨髄検査を行う。胸部X線検査は縦隔腫瘤,髄液検査は中枢神経内浸潤の有無の確認のために行う。病型の判定には,細胞表面マーカーの検査が必須である。また,治療の層別化のために,染色体分析,FISH法およびRT-PCR法によるキメラ遺伝子スクリーニングなどを行う。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方2)3)

    治療の主体は多剤併用化学療法であり,国内では日本小児がん研究グループによる多施設共同の治療開発が行われている。病型によって異なるが,主には診断時の白血球数や年齢,染色体・遺伝子異常,微小残存病変(MRD)を含めた治療反応性などの予後因子によりリスクを分類し,それに基づく層別化治療を行う。ALLにおいてはMRDが最も強力な予後因子として確立している。一方,AMLにおいては,MRD以外にt(8;21),inv(16),Monosomy 7やFLT3-ITD異常などの染色体・遺伝子異常が依然として強力な予後因子である。

    ALL,AMLのいずれにおいても,初期治療反応性不良および/または一部の特殊な染色体・遺伝子異常を持つ予後不良例は第一寛解期における造血細胞移植(HCT)の適応となる。HCTは移植前処置(全身放射線照射や大量化学療法)および移植後の同種免疫効果による抗白血病効果が期待できる強力な治療法であるが,様々な急性期および晩期合併症のリスクを伴うため,移植適応の縮小が試みられている。

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