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高齢の悪性リンパ腫患者における高齢者機能評価の意義について

No.5227 (2024年06月29日発行) P.47

鈴木智貴 (名古屋市立大学大学院医学研究科血液・腫瘍内科学)

中村信彦 (岐阜大学医学部附属病院血液・感染症内科)

登録日: 2024-07-01

最終更新日: 2024-06-25

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  • 高齢の悪性リンパ腫患者における高齢者機能評価の意義について,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)を中心に,現状の課題と今後の展望をご教示下さい。
    岐阜大学・中村信彦先生にご解説をお願いします。

    【質問者】鈴木智貴 名古屋市立大学大学院医学研究科血液・腫瘍内科学


    【回答】

    【高齢びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者の治療に高齢者機能評価(GA)は重要だが,本邦のガイドラインでは慎重な適用が推奨される】

    悪性リンパ腫には様々な病型が含まれますが,DLBCLが最も頻度が高く,高齢化社会の日本では高齢DLBCL患者の診療機会が増加しています。

    高齢者は身体機能や臓器機能の低下,併存症,栄養状態不良,認知機能低下,ポリファーマシー,うつ状態,社会的問題など,多くの問題を抱えていることが多いです。治療方針を検討する際にはperformance status(PS)を参考としますが,残念ながらPSのみではこれらの問題点を見逃す可能性があります。

    高齢者機能評価(geriatric assessment:GA)は,患者が有する身体的,精神的,社会的な機能を,確立した一定の評価手法に則って評価することであり,国内外の多くのガイドラインにおいて,高齢がん患者の治療方針を決定するためにGAを実施することを推奨しています。しかし,わが国の「高齢者のがん薬物療法ガイドライン」では,高齢DLBCL患者の治療方針の判断にGAを使わないことを提案している点には留意が必要です1)。これは,DLBCLが化学療法のみで治癒が得られる可能性がある疾患のため,GAによって良好な評価がされなかった患者が,高い効果が期待される標準治療を受けられないという大きな不利益が生じないように配慮した結果であり,決してGAの実施を否定しているわけではありません。

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