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急性骨髄性白血病(AML)[私の治療]

No.5229 (2024年07月13日発行) P.50

石川裕一 (名古屋大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学講師)

登録日: 2024-07-11

最終更新日: 2024-07-09

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  • 急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)は幼若造血細胞に様々な染色体異常,遺伝子異常が生じ,正常な分化が損なわれた芽球が増殖する疾患である。正常造血が抑制されることから,適切な対応が行われなければ発症から数日~数週間で出血,感染にて致死的となり,AMLが疑われた場合には専門医による診断,治療のために可及的速やかなコンサルトが求められる。

    ▶診断のポイント

    AMLの診断契機としては,発熱,出血症状が挙げられ,白血球数増加,末梢血芽球の出現が認められる場合以外にも,汎血球減少症から診断に至ることもある。診断には骨髄検査が必要であり,「WHO分類改訂第4版(2017年)」では骨髄芽球が20%以上認められ,芽球のうち3%以上でミエロペルオキシダーゼ染色が陽性の場合にAMLの診断となる。亜型のひとつである急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia:APL)では90%以上でPML::RARA融合遺伝子が認められ,ほぼ全例で播種性血管内凝固症候群(DIC)の合併がみられる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    65歳までの成人で十分な臓器機能が保たれている場合は,強力化学療法による寛解導入療法の適応となるが,臓器機能低下,併存症などにより強力化学療法が困難と考えられる成人,もしくは75歳以上の高齢者では,ベネトクラクス+アザシチジン併用療法などの強度減弱化学療法が行われる。診断時にFLT3-ITD変異が陽性であった場合には,FLT3阻害薬併用強力化学療法による治療も選択肢となる。また,APLが疑われた場合には,速やかな全トランス型レチノイン酸による治療開始が必要である。

    寛解導入療法後に完全寛解が得られた後には,診断時の染色体,遺伝子変異などのリスク分類に応じて,地固め療法を継続するとともに第一寛解期での同種造血幹細胞移植の実施について検討する。高齢者で併存症,全身状態などにより標準治療が困難な場合は,輸血による支持療法,ハイドレキシウレアなどによる腫瘍量のコントロールが行われる場合もある。再発・難治例に対しては,全身状態が良好であれば多剤併用による救援化学療法が実施され,FLT3遺伝子変異陽性であった場合には,FLT3阻害薬単剤による内服治療が行われる。

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