□小児に多く,成人での発症率は10万人に1人である。
□T細胞性急性リンパ性白血病とT細胞性リンパ芽球性リンパ腫は,臨床像は異なるが同一疾患と考えられている。後者は縦隔腫瘤で発症することが多い。定義上,骨髄に芽球細胞が25%未満の場合はリンパ芽球性リンパ腫とする。
□寛解率は約80%に達するが,既報の急性リンパ性白血病全体での長期生存は約20~30%である。
□思春期および若年成人には小児のプロトコールで化学療法を行うことで予後が著明に改善している。
□9番と22番の染色体転座t(9;22)(フィラデルフィア染色体,Ph染色体)陽性例は,転座によって生じるBCR-ABL1融合遺伝子のチロシンキナーゼを抑制するチロシンキナーゼ阻害薬が著効する。
□感染,貧血,出血傾向,肝脾腫,発熱(感染または腫瘍熱)などが多い。
□T細胞性の場合は縦隔腫瘤で見つかることもある。
□多くは末梢血に芽球様細胞の出現を伴う白血球増加,貧血,血小板減少がみられる。
□骨髄は過形成で芽球細胞が25%以上を占める。
□骨髄に芽球が充満していると骨髄穿刺では吸引できないことがある(dry tap)。
□芽球はペルオキシダーゼ染色陰性(陽性細胞3%未満),ズダンブラック染色陰性でリンパ球系表面マーカー(B細胞性:cytoplasmic CD79a,CD19,CD10など,T細胞性:CD7,CD5,cytoplasmic CD3など)陽性である。
□Ph染色体は成人の約30%にみられるが,年齢とともにその頻度は高くなる。その他にt(4;11),t(1;19)などの染色体異常がみられることがある。
□成熟B細胞の形質をもつバーキット型ではしばしば芽球細胞に空胞を有する。
□血液生化学所見ではLDH,尿酸が高値になることが多い。
□播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation:DIC)を合併するとプロトロンビン時間(prothrombin time:PT),活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)の延長,フィブリノゲンの低下,フィブリン分解産物(fibrin degradation product:FDP)の増加,破砕赤血球の出現などがみられる。
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