□成人T細胞白血病・リンパ腫(adult T-cell leukemia-lymphoma:ATL)はhuman T-lymphotropic virus type I(HTLV-1)が病因のCD4陽性Th2/制御性T細胞由来の成熟T細胞腫瘍である1)。
□臨床病態の特徴と予後の差から,ATLの自然史によって急性型,リンパ腫型,慢性型,くすぶり型よりなる病型分類が提唱され,その後現在まで治療方針の決定に用いられている(表)2)。
□HTLV-1は,ATLより頻度は低いがHTLV-1関連脊髄症・熱帯性痙性対麻痺(HAM/TSP),HTLV-1関連ぶどう膜炎,ジャマイカに多いHTLV-1関連感染性皮膚炎の病因でもある。
□しかし,これらのHTLV-1関連疾患の発症は,最も高頻度なATLであってもHTLV-1感染者の数%に限られており,大多数の感染者は生涯にわたって無症候性のHTLV-1キャリアである1)。
□リンパ節腫脹,肝脾腫,皮膚浸潤が多く,消化管,肺,腎,中枢神経,骨などへの浸潤による場合もある。
□しばしば合併する高カルシウム血症や細胞性免疫低下によるAIDSと同様の日和見感染症が,さらに症候を多彩にする。
□くすぶり型や慢性型は無症候の時期に,検診などでの末梢血液像異常により発見される場合も多い。
□白血化した急性型,慢性型,くすぶり型では末梢血に,リンパ腫型ではリンパ節に,特徴的な花弁状の核形態を持つ腫瘍細胞を認める。
□血清LDH,Caや可溶性インターロイキン2受容体の上昇は,ATLの病勢を示すよいマーカーである。
□血清学的に抗HTLV-1抗体が陽性であり,典型的なATL細胞はCD4陽性Th2/制御性T細胞由来の表面形質(CD3+,CD4+,CD8-,CD25+,CCR4+,FoxP3-/+)を有する。
□以上より,典型例の診断は容易である。非典型例では,ATL細胞のDNAにHTLV-1プロウイルスが単クローン性に組み込まれていることを遺伝子診断で証明して確定診断する。
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