□造血幹細胞レベルで生じた遺伝子異常により,骨髄において巨核球や好中球系細胞がクローナルに増殖する骨髄増殖性腫瘍である。増加した巨核球などから産生されるサイトカインが骨髄間質細胞に作用し,本症の特徴である骨髄の広範な線維化,骨硬化を生じる。その結果,貧血,血小板減少などの骨髄不全を示すと同時に,髄外造血による著明な肝脾腫,それに伴う腹痛,早期腹満感,腹部不快感などの臨床症状を呈する。また,炎症性サイトカインの産生が亢進しているため,発熱,夜間盗汗,体重減少,全身倦怠感などの全身症状がみられる。
□発症年齢中央値は66歳,男女比は約2:1である。わが国の生存期間中央値は3.8年,3年生存率57%であり,感染症,白血化,出血が主な死因となる1)。
□発熱,夜間盗汗,骨痛,食欲低下,体重減少などの持続する全身症状。
□腹部膨満感,腹痛など肝脾腫に伴う症状。
□動悸,息切れ,倦怠感などの貧血様症状。
□出血傾向。
□肝脾腫が約80%に認められる。
□末梢血に,涙滴状赤血球(tear drop erythrocyte:変形し涙状となった赤血球)や白赤芽球症(leukoerythroblastosis:末梢血に赤芽球や骨髄芽球が出現する)がみられる。
□貧血を約70%に認める。
□骨髄穿刺は採取不能(dry tap)であることが多い。
□骨髄生検所見は,骨髄の広範な線維化(細網線維,コラーゲン線維の増生)を伴う巨核球の増殖と異型,骨硬化を呈する。
□80%以上の患者にJAK2,CALR,MPL変異のいずれかが認められる。ただし,これらの変異は原発性骨髄線維症に特異的ではなく,真正多血症,本態性血小板血症においても観察されることに留意が必要である。
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