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本態性血小板血症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
小松則夫 (順天堂大学医学部内科学血液学講座教授)
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  • ■疾患メモ

    多能性造血幹細胞レベルでの腫瘍化によって生じた疾患で,慢性骨髄性白血病,真性赤血球増加症,原発性骨髄線維症とともに骨髄増殖性腫瘍に分類される。

    血小板数が著増し,骨髄では成熟巨核球が増加する。

    血栓症と出血の合併が予後に大きく影響する。

    8割の症例でJAK2V617F変異,CALR変異,MPL変異のいずれかが陽性である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    血管運動性症状あるいは血栓出血症状を呈することが多いが,診断時1/4~1/3の患者は無症状である。

    血管運動性症状では,頭痛,失神,非定型胸痛,視力障害,網状皮斑,肢端紅痛症などがある。

    血栓出血症状では,血栓症状が出血症状より多い。血栓症は動脈血栓(心,脳,末梢)のほうが静脈血栓(下肢深部静脈,腸間膜静脈,脳静脈洞)よりも起こりやすい。血栓症の発症には年齢が深く関与し,高齢者に多い。出血症状は胃腸管出血が最も多い。

    【検査所見】

    血小板数は通常100万/μL以上で,ときに数百万/μLを超えることもある。血小板は大きさ,形,構造の異常が著しく,巨大血小板や巨核球の断片もみられる。

    骨髄は正形成ないし軽度の過形成で,大型から超大型で細胞質の豊富な成熟した巨核球の著明な増加と血小板の凝集像がシート状にみられる。

    血小板数が著増するとvon Willebrand factor(vWF)因子の高分子マルチマーの蛋白分解亢進による質的異常によって後天性vWF症候群を発症することがあり,APTTが延長する。

    造血細胞の生産と破壊の亢進を反映して高尿酸血症や高LDH血症がみられる。

    採血時の血小板破壊による偽性高カリウム血症がみられる。

    JAK2V617F変異を半数の症例に,CALR変異を20~30%の症例に,MPL変異を数%の症例に認める。

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