□多能性造血幹細胞レベルでの腫瘍化によって生じた疾患で,骨髄増殖性腫瘍に分類される。
□赤血球数が著増し,骨髄では汎過形成を呈する。
□血栓症の合併が予後に大きく影響する。
□ほとんどの症例でJAK2チロシンキナーゼ遺伝子の変異を認める。
□頭痛,頭重感,眩暈,赤ら顔(深紅色の口唇,鼻尖),深紅色の手掌,眼瞼結膜や口腔粘膜の充血などがみられる。
□高血圧症,痛風,血栓症,塞栓症,血小板機能異常による易出血性がみられる。
□血小板増加を伴う症例では肢端紅痛症(erythromelalgia)がみられる。四肢末端に非対称性に焼けたような痛みを伴う,赤く充血した腫脹であり,アスピリンが著効する。
□高ヒスタミン血症による皮膚掻痒感は40%の症例にみられ,特に入浴後に生じやすい。消化性潰瘍や皮膚発赤もみられる。
□脾腫は70%の症例にみられる。
□初診時,赤血球数は6~10×106/μL,ヘモグロビン(Hb)濃度は18~24g/dLで,一般に正球性正色素性を呈するが,赤血球造血亢進による相対的な鉄不足や高ヒスタミン血症による消化管出血などで鉄が失われ,慢性的な鉄欠乏状態になると小球性低色素性となる。
□好中球や好塩基球の増加がみられる。
□血小板増加は半数以上の症例で認め,100万/μLを超える症例も10%にみられる。
□血小板数が著増するとvon Willebrand(vWF)因子の高分子マルチマーの蛋白分解亢進による質的異常によって後天性vWF症候群を発症することがあり,活性化トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)が延長する。
□造血細胞の産生と破壊の亢進を反映して高尿酸血症や高LDH血症がみられる。
□血小板増加を伴う症例では偽性高カリウム血症がみられる。
□骨髄は過形成で,赤芽球,顆粒球,巨核球の3系統のいずれも増加している。特に巨大化した成熟巨核球,多分葉化した核,巨核球の集簇がみられるが,異形成はない。骨髄の線維化はPVの少数例にみられ,骨髄線維症に移行しやすい。
□染色体異常は10~20%で認められ,疾患が進行するにつれて多くなる。+8,+9,20q-,13q-,1p-などが多いが,特異的なものはない。
□JAK2V617F変異は95%の症例に,JAK2exon12変異は3%の症例に認める。
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