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血球貪食症候群

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-16
鈴木律朗 (島根大学医学部附属病院腫瘍センター,腫瘍・血液内科准教授)
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  • ■疾患メモ

    血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome:HPS)は,一次性HPSと二次性HPSにわけられる。血球貪食性リンパ組織球症(hemophagocytic lymphohistiocytosis:HLH)の別称もある。

    一次性HPSは遺伝性で,家族性血球貪食症候群(familial hemophagocytic lymphohistiocytosis:FHL)とも呼ばれ,出生5~30万人に1人の発症とされる。2歳以下で発症する。

    二次性HPSは,感染症,悪性腫瘍,自己免疫疾患などに続発し,わが国では人口100万人に対して年間1人の割合で発症する。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    発熱は必発である。リンパ節腫張や皮疹,肝脾腫を認める例もある。病勢の進行は速く,重症例では痙攣や意識障害などの中枢神経症状を呈することがある。

    【検査所見】

    種々の程度の汎血球減少を認める。生化学検査では,肝酵素(AST/ALT),ビリルビン,LDHの上昇を認める。フェリチン,CRP,可溶性IL-2レセプターといった炎症性物質も上昇する。フィブリノゲンは消耗して低値になる。

    フェリチンの上昇はHPSに特異的ではなく,肝臓からの逸脱酵素である。HPSのほかにも,感染症や非特異的炎症,悪性腫瘍などでフェリチンは上昇する。HPSを考える必要があるのは50000ng/mLを超える超高値の場合であるが,それでも特異性は低く,腎不全,肝障害,感染症,血液腫瘍,リウマチ性疾患についで6番目でしかない。このほかに,IFNγ,TNFαといったサイトカインが上昇し,IL-1β,IL-6,IL-10,IL-18,INFR-1,sFas,FasLなども上昇する。

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