□高プロラクチン(prolactin:PRL)血症の病態は多彩であるが,最重要疾患はプロラクチノーマである。
□プロラクチノーマは,ホルモン産生下垂体腫瘍の最多疾患であり,約50%を占める。
□生殖年齢層の若年女性に好発し,深刻な性腺機能低下症,不妊症をきたす。
□女性では1cm未満のミクロ腺腫が,男性では1cm以上のマクロ腺腫が多い。
□診断には,腫瘍の同定と腫瘍サイズに見合う持続的高PRL血症の証明が必須である。
□第一義的治療は薬物療法で,第一選択は有効性と安全性に優れるカベルゴリンである。
□個別症例化したカベルゴリン治療は高PRL血症を正常化し,腫瘍も消滅しうる。
□ホルモン過剰症状と局所圧迫症状に大別される。
□高PRL血症によるホルモン過剰症状は,性腺機能低下症と乳汁漏出症(乳汁分泌)である。性ホルモン低下が重症化すると早発更年期,長期化すると骨粗鬆症を併発する。
□局所圧迫症状は,腫瘍塊による周辺組織の機械的圧迫で惹起される。視神経の圧迫で視力・視野障害,正常下垂体組織の圧迫で下垂体前葉機能低下症が起こる。
□プロラクチノーマの場合,腫瘍が1cm未満のミクロ腺腫ではホルモン過剰症状のみが現れ,1cm以上のマクロ腺腫になるとホルモン過剰症状に局所圧迫症状が加わる。
□プロラクチノーマの診断は経験的(empirical)に除外診断で行われている。
□第1に,持続する高PRL血症を1週間以上あけた2~3回の測定で確認する。
□第2に,高PRL血症をきたすほかの疾患(表)を1つ1つ慎重に除外する。
□第3に,MRI画像で下垂体腫瘍を確認し,その腫瘍が血中PRL値と矛盾しないサイズであれば診断(不確定tentative)となる(図)。
□第4の確定診断には,カベルゴリン治療による明確な腫瘍縮小を証明することが要求される。
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