□甲状腺濾胞上皮細胞膜上の甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)受容体に対するTSHレセプター抗体(TSH receptor antibody:TRAb)が産生され,びまん性甲状腺腫を伴う甲状腺中毒症を呈する臓器特異性自己免疫疾患である。
□有病率は1000人当たり0.2~3.2人で,慢性甲状腺炎,甲状腺癌より少なく,男女比は1:4.6,20歳代後半~30歳代前半に最も多く,以下40歳代,50歳代と続く1)。
□自覚症状は年齢により異なり,高齢者は症状に乏しい(図1)。
□古典的症状:Merseburgの三徴(甲状腺腫,眼球突出,頻脈)。
□甲状腺中毒症に伴う症状:倦怠感,食欲があるにもかかわらず体重が減少する,微熱,動悸(心房細動などの不整脈),息切れ,手指振戦,周期性四肢麻痺,甲状腺中毒性ミオパチー,発汗過多,軟便,月経異常(寡少月経,無月経),いらいら,不安感,不眠,落ちつきのなさなど。
□バセドウ病特有の症状:甲状腺眼症(眼球突出,眼瞼腫脹,複視など),前頸骨粘液水腫,太鼓ばち状指,EMO(exophthalmos,pretibial myxedema,hypertrophic osteoarthropathy)症候群(眼球突出,粘液水腫,肥大性骨関節症,甲状腺性先端肥厚症)など。
□一般検査所見:総コレステロール・LDL-コレステロール低下,ALP(alkaline phosphatase)上昇,急峻な食後高血糖。
□内分泌学検査所見:FT3・FT4高値,TSH抑制,TRAbまたは甲状腺刺激抗体(thyroid stimulating antibody:TSAb)陽性。
□甲状腺超音波検査:甲状腺のびまん性腫大,ドプラにて血流の上昇(非特異的)。
□核医学検査:123I,99mTcシンチグラフィーにてびまん性取り込み亢進。
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