□以下の4点を中心に集学的治療を行う。①新規甲状腺ホルモン合成の抑制,②甲状腺ホルモン放出の抑制と作用の減弱,③カテコラミン作用増強に伴う諸症状の制御,④全身管理,⑤可能であれば誘因の除去,を行う。
□甲状腺専門医の在籍する集中治療室の完備した施設での治療が必要である。
□致死率の高い重篤な疾患のため,初期対応を行い次第可能な限り速やかに甲状腺専門医が在籍し,集中治療室を完備した施設への転送を必要とする。
□抗甲状腺薬:メルカゾール®(チアマゾール:MMI),チウラジール®,またはプロパジール®(プロピルチオウラシル:PTU)の大量投与。
□消化器症状が強く,一手目不能症例に対し以下を投与。
□無機ヨウ素の投与※2。
□イオン交換樹脂の投与※3。
□脈拍管理の目的でβ遮断薬投与※4。
□血行動態監視下では,以下を投与する。
□心房細動を併発している症例では,ジギタリスを通常の2倍量で使用する。
□相対的副腎不全に対し副腎皮質ステロイド投与。
□中枢神経症状に対しては鎮静薬や抗痙攣薬を適宜投与する。
□発熱に対しては非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)ではなく,アセトアミノフェンと冷却で対処する※7。
□黄疸を呈する症例に対しては血漿交換を考慮する。
□致死率の高い重篤な病態ゆえ,偶発症,合併症は多岐にわたるため,適宜対処する。
□高齢者では,高熱などの典型的なクリーゼ症状を呈さない場合がある(apathetic thyroid storm)。
1) Isozaki O, et al:Clin Endocrinol (Oxf). 2016;84(6):912-8.
2) Tsai WC, et al:Clin Endocrinol (Oxf). 2005;62(5):521-4.
▶ Akamizu T, et al:Thyroid. 2012;22(7):661-79.
▶ Bahn Chair RS, et al:Thyroid. 2011;21(6):593-646.
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