□甲状腺機能低下症は,生体内での甲状腺ホルモンの作用不足による。
□原因は以下の3つに分類される(本項では稀な②と③は割愛する)。
①甲状腺ホルモン産生・分泌の不足:原発性甲状腺機能低下症,中枢性甲状腺機能低下症
②標的臓器での甲状腺ホルモン作用機構の異常:甲状腺ホルモン不応症,甲状腺ホルモンの代謝異常・輸送異常
③甲状腺ホルモンの代謝が過剰となる病態:肝血管腫での3型脱ヨウ素酵素の過剰発現1)。
□原発性甲状腺機能低下症は,甲状腺自体の障害による機能低下である。甲状腺癌やバセドウ病の術後,バセドウ病へのアイソトープ治療後,頸部への放射線外照射後の甲状腺機能低下症なども原発性である。
□中枢性甲状腺機能低下症は,甲状腺の働きを制御している視床下部・下垂体の障害による。
□最も頻度が多いのは,慢性甲状腺炎(橋本病)による原発性甲状腺機能低下症である。
□表1・2に診断ガイドラインを示す。
□表1・2を参照のこと。
□女性は過多月経,小児は低身長,発達障害もみられる。
□身体所見では眼瞼浮腫,口唇・舌の腫脹,眉外側1/3の薄毛,徐脈,皮膚乾燥,手足の非圧痕性浮腫,アキレス腱反射弛緩相の延長。
□一般生化学検査:総コレステロール高値,CPK高値のことが多く,LDH高値,ASTやALT高値,貧血も認める。
□内分泌検査:原発性甲状腺機能低下症(血清TSH高値,FT4低値,慢性甲状腺炎は別項を参照),中枢性甲状腺機能低下症(血清TSH低~正常値,FT4低値。視床下部性はTSH 10μIU/mL程度までの上昇を認めることもある。TRH負荷試験ではTSH分泌の低~無反応,120分後のT3が前値と比較し20%以上増加しない)。
□心電図:低電位,洞性徐脈。
□胸部X線:心嚢水貯留による心拡大。
□甲状腺超音波:慢性甲状腺炎では,内部エコーが不均一に低下したびまん性甲状腺腫の所見。中枢性甲状腺機能低下症では,甲状腺腫を認めない。
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