□副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)の分泌亢進により高カルシウム血症が惹起される病態である。
□機序は,骨吸収亢進による骨からのカルシウム動員と,腎からのカルシウム排泄の相対的な低下によるものであり,皮質骨を主体とした骨量の減少と,腎結石や腎障害をもたらす。
□男女比はおよそ1:2で,閉経後女性に好発する。
無症候性や正カルシウム血症性も含めると,有病率は0.1%程度と推測されている。
□90%は良性副甲状腺腺腫が原因である。残りの大半は副甲状腺過形成であり,その多くは多発性内分泌腫瘍症(multiple endocrine neoplasia:MEN)1型による。
□全体の1~2%が副甲状腺癌であり,再発や遠隔転移に注意が必要である。
□特徴的な症状は,嚢胞性線維性骨炎,尿路結石,消化性潰瘍および高カルシウム血症による食欲低下や抑うつなどの諸症状である。
□高血圧症の合併率が高いとされている。
□最近は,新規診断例の過半数は無症候性であり,尿路結石症を20~30%に認める。なお,骨粗鬆症のみの合併例は症候性には含めない。
□血清カルシウム値の高値。ただし,血清アルブミン値による補正血清カルシウム値もしくはイオン化カルシウム値で評価する。
□血中PTHの高値。ただし,高カルシウム血症の存在下では,PTHが基準値上限付近でも異常なので,注意する。
□PTHはintact PTHもしくはwhole PTHで評価する。
□低リン血症,軽度の代謝性アシドーシスを呈することが多い。
□画像検査で,腎結石もしくはびまん性腎石灰化を認めることが多い。
□骨密度検査では,橈骨遠位1/3領域など皮質骨の低値を認めることが多い。
□腰椎など海綿骨領域では,対照群と有意差はないとされている。
□頸部エコーで副甲状腺領域に腫瘤影を認める。楕円形(ラグビーボール様)であることが多い。カラードプラで血流を認める。なお,正常副甲状腺は画像検査では描出できない。
□99mTc-MIBIシンチグラフィーにより副甲状腺の責任病巣が描出される。ただし,頸部エコー検査より感度は劣ることが多いので,責任病巣の局在は総合的に判断する。
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