□ウィルソン病は常染色体劣性遺伝形式をとる先天性銅代謝異常症の代表的疾患である。
□発症頻度は出生3万5000~4万5000人に1人と推定される。
□過剰な銅が肝臓,大脳基底部, 角膜および腎臓などに沈着し,種々の臓器障害を呈する。
□適切な早期治療により,症状改善あるいは発症の予防が可能であり,社会復帰が十分期待できる。
□肝障害による易疲労性,黄疸,浮腫などが出現する。
□CTや超音波検査にて脂肪肝や肝硬変を認める。
□一方で,無症状であるが肝酵素の上昇のみを認める症例が存在する。
□急速に肝不全が進行する劇症肝炎型(最重症型)では,意識障害と溶血を伴い,死亡率が高い。
□溶血が顕在化しても肝不全や劇症肝炎型とならない症例もある。
□学童期以降に構音障害をはじめとし,歩行障害,羽ばたき振戦,知能障害など神経症状を高頻度に認める。
□ジストニアや多発硬化症に類似した症状も呈する。
□小児期の急性あるいは慢性の肝障害では本症は念頭に置き,神経学的異常の有無をチェックする。
□肝トランスアミナーゼの上昇があり,慢性型ではALT優位,劇症肝炎型ではAST優位となることが多い。
□疾患活動期には血清尿酸値が低下する。
□血清セルロプラスミン値低下(20mg/dL以下),および尿中銅排泄量(100μg/日または1.5μg/mg/日または0.2μg/mgクレアチニン以上)が診断の根拠となる。
□血清銅値は,多くの症例では血清セルロプラスミンに平行して低下するが,溶血の際は正常値または高値を示す。
□眼科的検索により,Kayser-Fleischer角膜輪の確認も重要である。
□必要に応じて,肝銅含量測定やATP7B遺伝子解析を行う。
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