□成人Still病(adult Still's disease:ASD)は不明熱の代表疾患であり,原因不明の間欠熱,関節炎,皮疹,肝脾腫,リンパ節腫脹などをきたす全身性の慢性炎症性疾患である。
□若年性特発性関節炎(全身型,Still病)の成人発症例(18歳以上),および成人まで遷延した小児発症例を併せてASDと呼ぶが,多くは前者である。
□成人例の発症年齢は,20歳前後がピークで35歳までに多く,女性が男性の2倍の頻度であり,高年齢では女性に,より多くなる。
□反応性血球貪食症候群(reactive hemophagocytic syndrome:HPS)あるいはマクロファージ活性化症候群(macrophage activating syndrome:MAS)を10%程度に合併するほか,播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation:DIC)を合併することもあり,注意が必要である。
□本疾患は国の指定難病である。
□発熱は間欠熱で,ピークは1日1回のことも2回のこともあり,弛張熱の場合もある。典型的には39℃以上の発熱が1週間以上続く。
□一時的なものを含めると,ほぼすべての症例で関節炎が認められる。関節リウマチに類似した骨びらんや関節変形をきたす場合がある。
□皮疹は,典型的には発熱時に一過性に出現するサーモンピンクの斑状皮疹もしくは斑状丘疹で,前胸部,頸部,四肢などにみられやすい。ケブネル現象が陽性のこともある。
□リンパ節腫脹は約2/3でみられ,頸部をはじめ全身性にみられ,両側性で軽度の圧痛を示すことが多い。脾腫も約1/3から半数で認められる。リンパ節の病理所見では,傍皮質に強く免疫細胞の過形成を認め,光顕ではリンパ腫と類似することもある。
□心膜炎,胸膜炎,間質性肺炎などをきたすことがある。
□血算では白血球,好中球の著明な増多がみられる。HPSを呈すると血球は減少する。
□血清CRPは高値となる。また,血清フェリチン高値がみられ,フェリチンの上昇が1000ng/mL以上であれば,診断に有力であるとされる(感度82%,特異度46%)1)。
□慢性の炎症性疾患で,関節炎を伴いながら抗核抗体やリウマチ因子などの自己抗体が陰性であるということが,本症を支持する所見となる。
□IL-6,TNFα,IL-1β,IFNγなど血清サイトカインの上昇がみられ,IL-18の上昇が比較的特異的なものとして報告されている2)。
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