□脊椎関節炎は,欧米諸国に比べわが国では頻度が低いとされているが,この疾患群に対する認識の低さから確定診断がなされていない症例も多数存在すると考えられる。
□強直性脊椎炎,乾癬性関節炎,掌蹠膿疱症性骨関節炎,SAPHO(synovitis,acne,pustulosis,hyperostosis and ostitis)症候群,反応性関節炎,炎症性腸疾患関連関節炎,ぶどう膜炎関連関節炎,未分化型脊椎関節炎に分類される。ここでは,強直性脊椎炎,乾癬性関節炎についてのみ解説する。
□仙腸関節炎や脊椎炎による腰背部痛や殿部痛が初発症状となることが多い。ただの腰痛として放置されていることが多いことに注意すべきである。
□疼痛は,運動により軽快し,安静や就寝により増悪する。アキレス腱の付着部である踵部など,身体各所の靱帯付着部の疼痛,腫脹)がしばしばみられる。
□進行に伴い脊椎や関節の可動域が減少し,重症例では運動性が完全に消失し,"強直"化する。
□ぶどう膜炎(虹彩炎),消化器(炎症性腸疾患),循環器(弁閉鎖不全症,伝導障害),呼吸器(肺線維症)などの病変を合併することがある。
□赤沈,CRPなどの炎症所見が陽性を示すことがあるが,疾患活動性を表すには不十分であり,BASDAI(bath ankylosing spondylitis disease activity index)などの指標が使用される。以前からHLA-B27との関連が指摘されているが,陰性例も存在する。単純X線,CTで仙腸関節炎を認め,進行すると,全例ではないが脊椎は強直し,いわゆるbamboo spineとなる症例もある。症状や進行の程度は症例により非常に多彩である。
□症例提示:43歳,女性。腰痛で近医を受診し紹介受診。単純X線,CTで,仙腸関節炎を認める(図)。
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