□治療目標は寛解導入とその維持,および血管由来の合併症の管理である。
□血管合併症を予防するためには,早期診断と治療介入が重要である。そのため,最近は高用量のステロイドが用いられるようになっている。
□ステロイドの適切な量と投与期間は,年齢や重症度,合併症や全身炎症の程度により変わってくる。
□重症感染症を併発している場合は,免疫抑制療法を一時的に中止せざるをえない。
□日本では20~30mg/日のプレドニゾロン(PSL)が一般的に使用される。
□重症例では0.8~1.0mg/kgの用量で使用される場合もある。
□ステロイド初期導入後数日の経過で,患者の症状やCRPなどの血液学的マーカーは速やかに改善傾向を示す。
□1日10mg以下にまで減量すると,その半年後に再燃する率が高くなると言われている。
□その後,臨床所見から疾患活動性を常に評価しながら,5mg/2週間の割合で減量し,5~10mg/日を維持量とする。ステロイドの中止が可能な症例では離脱を考慮する。
□ステロイド療法が効果的でないか,あるいは中止できない場合は下記のいずれかの免疫抑制薬の使用を考慮する。
□外科的療法は高安動脈炎の病勢が寛解期に入っているときに施行することが求められる。
□冠動脈狭窄に対してはバイパスグラフト術が適応となる。
□内径の著しい拡張を伴う胸・腹部大動脈瘤に対しては,人工血管置換術やステントグラフト術が適応となる。
□大動脈基部の拡張に伴う重度の大動脈弁閉鎖不全症に対しては,人工弁付き人工血管置換(Bentall手術)が適応となる。
□鎖骨下動脈狭窄による虚血症状がある場合は,バイパスグラフト術が考慮される。
□腎動脈狭窄による薬物治療抵抗性の高血圧を認める場合には,カテーテルによる血管内治療が考慮される。
□脳梗塞,肺動脈や冠動脈,一次分枝動脈の血管狭窄のある症例に対しては抗血小板薬,抗凝固療法を考慮する。
□若年女性に多い疾患であり,患者のライフプランに関わってくる。治療が奏効すれば挙児も不可能ではないことを説明する。
□免疫抑制療法ではステロイド療法は可能である。維持量で投与を継続する。免疫抑制薬投与中は一般的には妊娠は禁忌となる。
□高血圧症例ではACE阻害薬は投与禁忌であり,Ca拮抗薬の投与を考慮する。
□抗血小板療法ではアスピリンは比較的安全であるが,出産12週以内と授乳中は禁忌とされている。
□ワルファリンは催奇形性があり,禁忌である。
1) JCS Joint Working Group:Circ J. 2011;75(2):474-503.
2) Isobe M:Int J Cardiol. 2013;168(1):3-10.
3) 日本循環器学会, 他:心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に関するガイドライン(2010年改訂版). 2010.
1190疾患を網羅した最新版
1252専門家による 私の治療 2021-22年度版 好評発売中
PDF版(本体7,000円+税)の詳細・ご購入は
➡コチラより