□Cogan症候群は炎症性角膜炎,前庭聴力障害,感音性難聴を呈する慢性炎症性疾患で,主に若年成人に発症する。
□関節炎,発熱,大動脈炎を伴うなど,血管炎症候群と関連する疾患と考えられている。
□眼症状として最も多いのは間質性角膜炎であり,発赤,疼痛,羞明,霧視を伴う。細隙灯検査において,角膜への炎症細胞浸潤を認める。その病初期においてはウイルス性,クラミジア角膜炎との鑑別が重要となる。稀ではあるが,角膜炎が進行し,失明に至る例が報告されている。眼症状としてはほかに結膜炎,虹彩炎,強膜炎,網膜血管炎をきたすことが知られている。網膜血管炎や後部強膜炎はしばしば視力障害につながるため,迅速な治療介入が必要である。
□内耳症状発作として,メニエール病様のめまい,嘔気,失調,耳鳴,聴力障害をきたす。前庭機能障害により動揺視をきたすこともある。内耳症状発作が頻発すると,著しい聴力障害に至ることがある。60例の後方視的観察によると,聴力障害は典型的には突然発症し,両側性,動揺性であるとともに進行性であり,120耳のうち73耳は聴力消失に至っている。繰り返す内耳障害により蝸牛水腫に至る例も報告されている。
□血管炎症状としては,高安動脈炎様の大動脈炎が10%程度に報告されている。その結果,大動脈瘤,大動脈弁閉鎖不全,冠動脈起始部狭窄などが認められる。中小動脈の動脈炎も認められる。
□全身症状として発熱,全身倦怠感,体重減少,リンパ節腫脹,関節痛,関節炎,筋痛,肝脾腫,肺結節性病変,心膜炎などを伴う。Cogan症候群は炎症性腸疾患に伴うことも報告されている。
□耳鼻科的検索,眼科的検索とともに,全身血管炎の検索が必要である。
□Caloricテストにより,しばしば前庭機能障害があることが示される。
□聴力検査においては,典型的には低音域と高音域を主体とする感音性難聴が検出される。音声弁別障害を呈することも知られている。
□血管炎症候群の検索では,心臓超音波にて大動脈弁弁膜症を認める。また,高安動脈炎の検索目的にCT血管造影,MRIを行う。PET-CTは有用である可能性がある。
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