□リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)は50歳以上の高齢者に多く発症し,男女比は1:2程度で女性に多い。
□頸部,肩,腰,四肢の近位筋などにこわばり,疼痛がみられ,赤沈亢進,CRP上昇などの炎症反応を伴う原因不明の炎症性疾患である。また,側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)を合併することがある。
□後頸部から肩,上腕,腰部から殿部,大腿の朝のこわばり,疼痛,筋痛,把握痛がみられる。両側対称性にみられることが多い。
□肩関節だけではなく,末梢関節〔肘,手,中手指節間関節(MCP関節)など〕にも関節炎(滑膜炎,滑液包炎)を認めることがある。また,腱滑膜炎や四肢の浮腫を伴うこともある。
□全身症状として,倦怠感,発熱などもみられる。
□赤沈の亢進,CRPの上昇がみられる。抗核抗体,リウマトイド因子,抗cyclic citrullinated peptide(CCP)抗体などの自己抗体は陰性のことが多い。
□関節エコー,MRIでは,肩関節の肩峰下,三角筋下の滑膜嚢胞炎や,肩甲上腕部の滑膜炎,二頭筋の腱滑膜炎を認めることがある。また,股関節の滑膜炎や,転子部の滑液包炎もみられる。
□高齢者に,上述の症状を呈し炎症反応陽性を認めた際には,PMRを考慮する。PMRに特異的な症状や検査はなく,臨床経過,症状,検査所見より総合的に診断する。
□1979年に発表されたBirdらの診断基準がよく用いられている(表1)1)。また,2012年にEULAR/ACRより新しい暫定版の分類基準が発表された(表2)2)3)。
□鑑別疾患としては,関節リウマチ,RS3PE(remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema)症候群,多発性筋炎/皮膚筋炎などの炎症性筋疾患,線維筋痛症,感染症,悪性腫瘍,血管炎症候群などが挙げられる。
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