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RS3PE症候群

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-19
川上美里 (相模原病院リウマチ科)
當間重人 (相模原病院臨床研究センターリウマチ性疾患研究部部長)
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  • ■疾患メモ

    疾患の特徴の頭文字をとって名づけられた疾患群である。高齢者に好発し,予後はよく(remitting),リウマトイド因子陰性(seronegative)で,対称性(symmetrical)に,圧痕浮腫を伴う滑膜炎(synovitis with pitting edema)をきたす1)

    典型例ではステロイドが著効し,再発・再燃は稀である。高齢発症の関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)やリウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)との鑑別が問題となるが,現時点で確立された分類基準は存在しない。以前はRAの亜型とされたが,最近は明確に異なる疾患群という見方が支持されている2)

    近年,糖尿病患者にDPP-4阻害薬を投与中,本疾患を発症した症例の報告3)4)がある。ただし,1型糖尿病,2型糖尿病,治療法を問わず,本疾患を合併発症した症例の報告3)4)も多い。

    ■代表的症状・検査所見1)2)5)

    【症状】

    比較的急性に発症する。四肢(特に手背,足背~下腿にかけて)の圧痕浮腫と同部位の関節痛を主症状とし,1~2日程度で症状は完成することが多い。全身症状として倦怠感や発熱,食欲不振,体重減少を呈し,経時的に全身状態の悪化へ至る。

    ただし,全身症状が強くステロイドの反応性の悪い症例では,悪性腫瘍の合併を考慮する必要がある。

    【検査所見】

    血液検査では,CRPの上昇,赤沈の亢進など,炎症反応の上昇を認める。

    MMP-3(matrix metalloproteinase-3)(通常,RAにおいて軟骨破壊を示唆するとされ,関節破壊の進行予測の指標として測定される)も,高値に上昇していることが多い。自己抗体に関しては,疾患名に示される通り,リウマトイド因子は通常陰性である。抗環状シトルリン化ペプチド抗体(anti-citrullinated peptide antibody:ACPA),抗核抗体などの自己抗体もすべて通常は陰性である。

    画像所見では,関節の単純X線写真では骨びらんをはじめとした関節破壊像は認めない。関節MRI,関節超音波検査では腱鞘滑膜炎を認める。

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