□疾患の特徴の頭文字をとって名づけられた疾患群である。高齢者に好発し,予後はよく(remitting),リウマトイド因子陰性(seronegative)で,対称性(symmetrical)に,圧痕浮腫を伴う滑膜炎(synovitis with pitting edema)をきたす1)。
□典型例ではステロイドが著効し,再発・再燃は稀である。高齢発症の関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)やリウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)との鑑別が問題となるが,現時点で確立された分類基準は存在しない。以前はRAの亜型とされたが,最近は明確に異なる疾患群という見方が支持されている2)。
□近年,糖尿病患者にDPP-4阻害薬を投与中,本疾患を発症した症例の報告3)4)がある。ただし,1型糖尿病,2型糖尿病,治療法を問わず,本疾患を合併発症した症例の報告3)4)も多い。
□比較的急性に発症する。四肢(特に手背,足背~下腿にかけて)の圧痕浮腫と同部位の関節痛を主症状とし,1~2日程度で症状は完成することが多い。全身症状として倦怠感や発熱,食欲不振,体重減少を呈し,経時的に全身状態の悪化へ至る。
□ただし,全身症状が強くステロイドの反応性の悪い症例では,悪性腫瘍の合併を考慮する必要がある。
□血液検査では,CRPの上昇,赤沈の亢進など,炎症反応の上昇を認める。
□MMP-3(matrix metalloproteinase-3)(通常,RAにおいて軟骨破壊を示唆するとされ,関節破壊の進行予測の指標として測定される)も,高値に上昇していることが多い。自己抗体に関しては,疾患名に示される通り,リウマトイド因子は通常陰性である。抗環状シトルリン化ペプチド抗体(anti-citrullinated peptide antibody:ACPA),抗核抗体などの自己抗体もすべて通常は陰性である。
□画像所見では,関節の単純X線写真では骨びらんをはじめとした関節破壊像は認めない。関節MRI,関節超音波検査では腱鞘滑膜炎を認める。
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