□アナフィラキシーとは,「アレルゲン等の侵入により,複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され,生命に危機を与えうる過敏反応」であり,アナフィラキシーショックとは,「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合」と定義される。
□アナフィラキシーの既往を有する頻度は,海外では0.3~1.6%と報告されており,わが国の児童では0.3~0.6%とされる。
□多くはIgEが関与する免疫学的機序により発生する。最も多くみられる誘因は食物,刺咬昆虫(ハチ,アリ)の毒,薬剤である(表1)。
□症状は皮膚・粘膜,上気道・下気道,消化器,心血管系,中枢神経系の多臓器に生じ,図1に示す3項目のうちいずれかに該当する場合はアナフィラキシーと診断する。
□症状および徴候のパターン(発症,症状の程度,経過)は患者により異なり,同一患者でも発症ごとに差異が認められる。
□致死的反応において呼吸停止または心停止までの中央値は薬物5分,ハチ毒15分,食物30分との報告がある。
□二相性アナフィラキシーは成人の最大23%,小児の最大11%に発生する。
□アナフィラキシーの際に総トリプターゼ値,ヒスタミン値の上昇がみられる場合があるが,それらが正常値であってもアナフィラキシーを否定することはできない。
□血小板活性化因子(platelet activating factor:PAF),カルボキシペプチダーゼA3などのバイオマーカーについてはまだ研究レベルである。
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