□動物の体成分がアレルゲンとなり,アレルギー反応により惹起された疾患である。
□アトピー体質を持つ者が,環境からのアレルゲン曝露を受けて感作され発症する。
□最も頻度が高いのは,IgEを介した即時型過敏反応による疾患であり,アナフィラキシー,アトピー性喘息,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎などがある。
□症状の増悪のリスクを避けるため,動物アレルゲンへの曝露を最小限にする必要がある。
□動物により引き起こされる即時型過敏症としては,喘息,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎,アナフィラキシーがある。詳細は各疾患を参照。
□ダニ:小児気管支喘息の約90%はチリダニが原因であるように,最も重要な室内アレルゲンである。ハウスダストの主成分であり,チリダニ科のコナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニが主である。ヒョウヒダニのアレルゲンの中で最も強いのは,糞でダニ消化酵素であるDer 1である。ついで死んで細塵化した虫骸のDer 2である1)。
□ネコ:アレルゲンは,Feld 1~8があり,Feld 1が主要アレルゲンであり,ネコアレルギー患者の80%以上が陽性になる主要アレルゲンである。Feld 1は,主に皮膚の皮脂腺で産生され,顔,首,腋下,尾の付け根に多く,雄ネコで産生量が多い。5μg以下の微細な粒子として長く浮遊,粘着性があり,床面だけでなく壁面にも付着し,長期間残る2)。
□イヌ:イヌの数はネコより多いが,外で飼育される場合も多いので,イヌアレルギーはネコより少ない。イヌアレルゲンは,CanF 1~6があるが,CanF 1が主要アレルゲンで,イヌアレルギー患者の90%以上が陽性となる。CanF 1は,イヌの唾液腺に認められるが,皮膚にも存在する。イヌの尿から同定されたCanF 5も約70%に陽性である。
□イヌ・ネコの飼育率が高い地域では,非飼育者がこれらに感作されていることもめずらしくない2)。
□ハムスターやウサギは,飼育率が低いので非飼育者が感作されることはないが,飼育者または家族が新規にアレルギー疾患を発症する。家族の場合,喘息の原因がこれらペットであることを自覚していない場合が多々ある。
□実験動物を扱う研究者やトリマーなど,職業性アレルゲンとしても重要である。
□詳細な問診を行い,原因アレルゲンを推定する。新規発症喘息患者では,ペット飼育は必ず問診する。
□即時型過敏反応の場合,アレルゲン同定は,プリック・テストなどの皮膚反応,あるいは特異的IgE抗体の測定により行う。
□上記検査でも明確でない場合は,喘息では吸入誘発試験,アレルギー性鼻炎では鼻粘膜抗原誘発試験などが行われる。
□国内ではヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニがあるが,共通抗原性が高くどちらか一方の測定でよい。室内塵(house dust)は,チリダニと相関性があるためチリダニの測定のみで十分である。
□ネコとイヌは感作率が高く,またアレルギー疾患の重症化をきたすので必ず測定する。ハムスターやウサギも飼育していれば測定する。
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