□特徴:関節の急激な疼痛で発症し,局所の腫脹・発赤・熱感などの炎症所見が顕著である。多くは発熱を伴う。弱毒菌や高齢者では,炎症所見に乏しいこともある。股関節の場合,肉眼所見は乏しい。
□病態および疫学:本疾患では,滑膜細胞や好中球などから放出された蛋白分解酵素と細菌が分泌する酵素により,急激な関節破壊が起こる。
□感染経路:①血行性感染,②外傷,手術,関節内注射などの直接感染,③骨髄炎,軟部組織感染などの近接病巣からの拡大,などがある。
□頻度:血行性感染が多く,糖尿病や高齢者などの免疫機能が低下した患者に多くみられる。
□罹患関節:膝関節が最も多く,ついで股関節,肩関節などの大関節である。小児では股関節が最も多い。
□起炎菌:黄色ブドウ球菌が最も多く,連鎖球菌,緑膿菌の頻度も比較的高い。
□50歳男性。2日前に38℃の発熱を生じた。解熱したが,急に右膝の疼痛・発赤・腫脹が出現し,再度発熱した。基礎疾患に糖尿病があった。
□体温38.5℃,血液所見は白血球,好中球,CRPの増加。関節液は混濁し,白血球増加,グラム陽性球菌を認めた。単純X線では右膝に異常を認めなかった。
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