□"インピンジメント"とは衝突を意味する言葉で,肩関節におけるインピンジメント症候群は,上肢挙上に際して上腕骨大結節が,肩峰および烏口肩峰靱帯と衝突して起きる種々の症候を指す。
□腱板自体の機能不全による上腕骨頭の上方化,肩峰下の骨棘,腱板への石灰沈着,大結節骨折の変形治癒などが要因として挙げられる。
□インピンジメントが繰り返されることにより腱板の滑液包側の不全損傷が生じ,長期に及ぶと関節拘縮も伴うことがある。
□インピンジメント症候群を診断・治療していくには,他の病態の合併をよく把握し,症候が原因なのか結果なのかを理解する必要がある。
□上腕挙上時の肩関節の疼痛(特に前方挙上時よりも外転時に顕著となる)。
□慢性化し,腱板や関節包に障害が広がると,安静時痛(夜間痛)や可動域制限も伴う。
□患者の後側方に立ち,一方の手で肩甲骨を保持し,もう一方の手で上肢(回内位)を最大挙上させ,大結節を肩峰前縁に圧迫させる。挙上90°~120°で疼痛が誘発されれば陽性である。
□肩峰下滑液包にリドカインなど局所麻酔薬を注入することで,インピンジメントサインが陰性化したときに陽性とする。
□肩90°前方挙上位,肘90°屈曲位で,肩を内旋させ,大結節を烏口肩峰靱帯および烏口突起に圧迫させ,疼痛が誘発されれば陽性である。
□正面像:大結節部の骨硬化(白矢頭)や,肩峰下面に骨性隆起(白矢印)を認める。
□側面像(肩甲骨Y撮影):肩峰の前方に烏口肩峰靱帯の骨化(黒矢印)や,骨棘を認める。
□T2強調脂肪抑制像,斜位冠状断:棘上筋腱に高輝度変化(青矢印)や,不全損傷を認めることもある。
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