□20~40歳代の男性に好発する腰痛,片側下肢痛を愁訴とする高頻度の腰椎疾患である。遺伝的背景の関与が指摘されている。
□10歳代の症例は腰痛のみで下肢痛を訴えないことが多く,腰椎前屈が著明に制限される。
□好発椎間高位はL4/L5およびL5/S1腰椎椎間板である。変性した椎間板が後方線維輪や後縦靱帯を穿破して神経を圧迫し,ヘルニア周囲の神経組織に炎症を惹起する病態である。
□椎間板ヘルニアの約2/3は自然退縮するため,発症から3カ月以内に症状が軽快する。しかし,10%程度の症例は発症後3カ月以降も症状が継続し,手術治療を要する。
□椎間板ヘルニアが脊柱管の正中前方から大きく脱出し硬膜を圧迫した場合,両側下肢症状と膀胱直腸障害を伴う重度麻痺を発症することがあり,なるべく早期に手術治療が必要になる症例が存在する。
□腰・下肢痛を有する(主に片側,ないしは片側優位)。
□安静時にも症状を有する。
□下肢挙上(straight leg raising:SLR)テストは70°以下陽性(ただし高齢者では絶対的条件ではない)。
□MRIなどの画像所見で椎間板の突出がみられ,脊柱管狭窄所見を合併していない。
□症状と画像所見が一致する。
□腰背部痛が持続し,その後突然臀部痛と下肢痛が出現する経過が多い。
□外傷を起因に発症することは少なく,60%以上は自然経過,25%は通常動作中に発症している。
□MRIでみられる椎間板膨隆の30%以上は無症状である。
□腰痛,臀部痛,下肢痛を回避する側弯となり,疼痛性跛行がみられる。
□神経根症では,SLRテストや,大腿神経伸展テスト(femoral nerve stretching test:FNST)が陽性となり,臀部痛や下肢への放散痛がみられる。
□高齢者は青壮年症例と比較してSLRテストは著明ではないが,左右差がみられることが多い。
□徒手筋力テスト,知覚検査,深部腱反射所見で,障害神経根の同定が可能である。
□画像検査はMRIが有用であり,ヘルニア塊の同定はT1画像が適する。
□脊柱管内,椎間孔内,椎間孔外のどの部位にも椎間板ヘルニアを発症する。
□外側型ヘルニアの症例では椎間板造影が実施されることがあるが,椎間板変性を促進するという報告がある。
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