□モートン病は,1876年にMortonが報告した,中足骨痛をきたす疾患の1つである。
□足指(趾)の神経(足底趾神経)は骨と骨の間を通って各趾へ走行している。モートン病では,足底趾神経が足指の股(趾間)の手前〔中足趾節(metatarsopharangeal:MTP)関節付近〕で中足骨同士の間に挟まれることにより,神経が障害される。趾間付近の耐え難い痛みを主とし,趾の知覚異常を起こす絞扼性神経障害である。
□中年以降の女性に多く生じ,症状は歩行時に趾間へ放散する鋭い痛み(ビリっとくる)のため歩行障害をきたす。しびれ感,灼熱感,有痛性のしこりを訴える場合もある。主に第3/4趾間,第2/3趾間に起こる。
□神経が腫れてしこり(神経腫)ができることがあり,モートン神経腫という病名でも呼ばれるが,仮性神経腫であり腫瘍ではない。
□靴を履いているときに症状が強くなり,脱ぐと軽快する。ハイヒールは痛くて履けないことが多い。ハイヒールの常用などによる長時間のつま先立ち状態は,趾の付け根の関節であるMTP関節に大きな負荷がかかる。
□点字ブロックや軽度の段差(絨毯とフローリングの段差など)を踏んだときなどに,飛び上がるほどの痛みが生じることがある。
□足底趾神経は中足骨間を連結する靱帯(深横中足靱帯)のすぐ足底部を通過するため,負荷がかかると深横中足靱帯と足底の間で圧迫され絞扼性神経障害を生じる(図1)。
□足底の第4/第5中足骨頭間,あるいは第2/第3中足骨頭間に圧痛を認める。
□片手で母趾と小趾の中足骨頭部を挟んで,横から圧迫すると疼痛を誘発できることがある(squeezeテスト)。
□squeezeしながら趾間の圧痛,クリック(Mulderテスト)の有無を調べる。
□神経の腫れ(しこり)を触知できることもある。
□血液検査では異常所見はなく,単純X線像,CT像も特記すべき所見はない。
□画像診断には超音波検査,造影MRI(図2)が有用である。
□開張足による中足骨頭部痛,Freiberg病,滑膜炎,腫瘍などと鑑別を要する。
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