□肩鎖関節脱臼を含む肩鎖関節損傷は,肩関節外側,特に肩峰外側部を強打する介達外力により発生することが多い。スポーツ外傷に多いが,歩行中での転倒や交通事故でも発症しやすい。
□肩鎖関節を安定化させている静的安定化機構(肩鎖靱帯,烏口鎖骨靱帯:菱形靱帯・円錐靱帯)と動的安定化機構(僧帽筋,三角筋)の損傷程度により,肩鎖関節の障害状況および治療方法は異なる。鎖骨と肩峰の間での接触が完全に途絶えた肩鎖関節脱臼は,静的安定化機構を構成する3つの靱帯がすべて断裂した状態で発生する。これに動的安定化機構の鎖骨からの剥離が加わることにより脱臼程度がさらに高度となる。
□初期は疼痛のため,肩関節自動運動は困難となる。
□鎖骨外側端の肩峰に対する上方偏位(鎖骨外側端の上方突出)。
□肩鎖関節部の腫脹および圧痛。
□piano key症状(突出した鎖骨外側端の下方圧迫にて整復可能。ただし圧迫除去にて容易に再転位をきたす)。
□単純X線検査(正面および軸位像):坐位あるいは立位で撮影(臥位での撮影は上肢重量による負荷が軽減されるため正確な評価ができない)。
□肩鎖関節損傷程度を評価する。
・肩鎖関節脱臼:鎖骨下縁が肩峰上縁より上方に偏位した場合,烏口突起─鎖骨間距離が健側比で125%以上に拡大した場合
・肩鎖関節亜脱臼:鎖骨下縁が肩峰下縁より上方に偏位し,肩峰上縁より下位に位置した場合
□肩鎖関節の後方脱臼を検討する。
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