□アキレス腱断裂は,30~50歳のスポーツ愛好者によくみられ,レクリエーショナルスポーツ中に受傷することが多い。一般のスポーツ傷害に比べて好発年齢が高いことが特徴である。
□断裂は加齢に伴う腱の退行性変性を基盤に発生する。
□中高年層で盛んなバレーボール,バドミントン,ソフトボール,テニスなどの競技中に多く発生し,踏み込みやジャンプなどの動作で下腿三頭筋に瞬時に急激な負荷が加わることにより腱が断裂する。
□高齢者では,「転倒」「階段を踏み外して」「段差に躓いて」など,スポーツと関係なく日常動作の中で受傷することが多い。
□問診では受傷時の様子を,「後ろから踵部を蹴られた」「ボールが当たった」「棒で叩かれた」などと表現することが多い。
□断裂部に疼痛と腫脹がみられるがその程度は軽いことが多い。ランニングやつま先立ちは不可能となるが,歩行は可能な場合が少なくない。
□踵骨付着部から3~6cm中枢側に好発し,視診・触診にて断裂部位に陥凹を認める。
□問診および臨床所見から,新鮮例における診断は比較的容易である。
□Thompsonテスト陽性:患者を腹臥位とし膝90°屈曲位にて下腿三頭筋の筋腹をつかむと,健側では足関節が底屈するが,断裂側では底屈がみられない。
□超音波検査,MRI:断裂部を確認することができるが,必須のものではない。初期診断よりはむしろ治療経過における腱の修復状態を評価する手段として有用である。
□単純X線:踵骨や足関節周辺骨折の除外診断を行う。腱内や腱付着部に石灰化像や骨化像などの変性所見がみられることもある。
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