□軟部肉腫は,骨やリンパ節を除く軟部組織から発生する非上皮性組織由来の稀な腫瘍であり,多くの組織型がある。日本整形外科学会骨軟部腫瘍委員会の全国悪性軟部腫瘍患者登録一覧によれば,2006~2012年に7977例の登録がなされていることから,年間発生数は1000~1200例程度と推定される1)。
□発生頻度としては,脂肪肉腫,高悪性度未分化多形肉腫(従来の悪性線維性組織球腫),平滑筋肉腫,粘液線維肉腫,滑膜肉腫などの非円形細胞肉腫の頻度が高い。
□四肢に好発するが体幹や頭頸部などにも発生する。多くは30歳代以降に発生し,60~70歳代にピークが存在する2)。
□多くは無痛性腫瘤で発見される。数年にわたり徐々に増大するものもある。一般的に良性腫瘍では発育速度は遅く,5cm以下のものが多いとされている2)。しかし,臨床症状のみから,良/悪性を判断することは困難であり,腫瘍の大きさやその経過,疼痛の有無,局在,硬さなどの臨床所見のみで安易に良/悪性を推測することは不適切である。
□不適切な手術を避けるためには術前画像診断により良/悪性を推測することが重要である。
□MRIが最も有用な画像検査であり,腫瘍の性状や広がり,神経血管束への浸潤の有無が把握できる。軟部肉腫ではリンパ節転移は少ないが,血行性に肺や骨に転移をきたすことから,CTにより病期診断を行うことが望ましい2)。
□悪性が疑われるものであれば,針生検や切開生検を行い,組織学的に確定診断を行う。
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