□軟部腫瘍は筋組織,脂肪組織,血管組織などの非上皮性骨外組織から発生する腫瘍の総称である。良性腫瘍の発生頻度は悪性腫瘍に比べて高いが,常に悪性腫瘍の可能性を考慮した検査および治療指針が重要である。
□疼痛などの症状を伴わないことが多い。血管腫やグロムス腫瘍,血管平滑筋腫,リンパ管腫,神経鞘腫では疼痛を呈することが比較的多い。
□グロムス腫瘍では,夜間痛や発作性放散痛,温度変化に対する疼痛過敏などを呈することが特徴である。
□神経鞘腫や神経線維腫などの腫瘍ではTinel徴候を認めることがある。
□良性軟部腫瘍に対する画像診断の目的は,腫瘍の局在や広がり,神経・血管・骨などとの位置関係の把握,良悪性の鑑別などである。
□骨腫瘍と比較し,軟部腫瘍で得られる情報は少ない。血管腫では石灰化を呈することがある。脂肪性腫瘍ではX線の透過性が増加する。
□単純X線では明らかでない石灰化像の抽出や脂肪性腫瘍の診断に有用である。また腫瘍の局在や骨などへの浸潤の有無を把握できる。
□最も質的診断の有用性が高い検査方法である。MRIのみで良悪性の診断は困難であるが,悪性の可能性が否定できない場合は,生検などを行う必要がある。一般的にT1強調像,T2強調像,ガドリニウム造影T1強調像,脂肪抑制画像を用いる。多くの軟部腫瘍はT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を示す。脂肪腫,血管腫,神経鞘腫は特徴的な所見を呈し,比較的鑑別診断が可能である。
□腫瘍の局在や充実性腫瘍と嚢腫様腫瘍との鑑別に有用である。エコー下での針生検も行われている。
□一般に,特異的な血液および尿中腫瘍マーカーは乏しいとされている。
□確定診断は生検により採取した腫瘍の病理組織学的診断により行われる。特に悪性腫瘍が疑われる症例の生検は的確な方法で行う必要があるため,専門医に依頼すべきである。
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