□舌乳頭の萎縮により舌の表面全体が発赤し,平滑になった状態を言う。
□舌全体の灼熱感やしみる症状が発現する。貧血にみられることが多い。
□口腔内所見として,舌背部全域にわたり,表面の乳頭が消失し平滑を呈する。
□肉眼的には萎縮性病変であり,組織,細胞の縮小で体積が減少した状態となる。
□灼熱様疼痛やしみるといった症状が発現する。また,時に味覚異常や嚥下障害が認められることがある。
□赤色平滑舌を呈する代表的疾患は貧血性疾患であり,特に鉄欠乏性貧血,悪性貧血によるものが多い。
□鉄欠乏性貧血は最も高頻度にみられる貧血であり,女性に多く,月経過多や胃潰瘍などで鉄分が喪失することにより生じる。貧血が高度になると平滑舌を呈する(図1)。
□口腔内以外の所見として匙状爪(spoon nail)がみられる(図2)。また,鉄欠乏性貧血が亢進すると,舌炎,口角炎,食道粘膜の萎縮性変化に伴う嚥下障害がみられ,これらの症状を併せてPlummer-Vinson症候群と呼ばれている。
□悪性貧血(巨赤芽球性貧血)は核酸(DNA)合成に関与するビタミンB12欠乏に起因する疾患で,自己免疫系の異常が多い。また胃全摘出後でも生じる。本疾患による糸状乳頭の萎縮を伴った舌炎をHunter舌炎と呼ぶ(図3)。
□小球性低色素性貧血:Hb↓,Ht↓,MCV↓,MCHC↓,血清鉄↓。
□骨髄中に核形態の異常を示す巨赤芽球を認める。
□大球性正色素性貧血:MCV↑,MCHC→,血清ビタミンB12↓。
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