□肥厚性幽門狭窄症(hypertrophic pyloric stenosis)は,新生児~乳児早期に発症する幽門筋肥厚による胃内容の通過障害である(図1)。
□出生1000人に1~2人に発症し,男児に多く,低出生体重児に少ない。
□家族性発症もみられる。
□病因は諸説あるが,詳細は不明である。
□噴水状非胆汁性嘔吐がみられる。
□生後2~3週頃から3カ月頃に発症することが多い。
□哺乳不良による体重増加不良や減少がみられる。
□腹壁から肥厚した幽門部(オリーブ様腫瘤)を触知することもある。
□腹部単純X線:胃泡の拡大,小腸・結腸ガスの減少が認められる(図2a)。
□超音波:肥厚した幽門筋(doughnut sign)を描出する。厚さ4mm以上,長さ15mm以上で診断に至る(図2b)。
□上部消化管造影:必須ではないが,string sign,umbrella sign,beak sign,shoulder signなど,造影剤の幽門部の通過障害がみられれば補助的診断となる。
□血液検査:血液検査における典型例では,胃酸喪失による低Cl性アルカローシスがみられる。また,主に間接型ビリルビン優位の黄疸がみられることもある。
□同時期に嘔吐をきたす疾患として,腸回転異常症,胃軸捻転症,胃食道逆流症(gastroesophageal regurgitation disease:GERD)などが鑑別に挙げられる。単純X線写真のみでは鑑別できないこともあり,超音波検査や造影検査ができる専門施設での診療が望ましい。
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