□母親のB群溶血性連鎖球菌(GBS)スクリーニング,インフルエンザ菌ワクチン,肺炎球菌ワクチンの普及により細菌性髄膜炎(bacterial meningitis)の頻度は減ってきているが,見逃すと重大な結果をもたらすので注意が必要である。
□細菌性髄膜炎の進行は多様で,電撃的な経過をとり発症後急速に症状が悪化するタイプから,髄膜炎と診断されるまでに数日間,発熱,不機嫌,易刺激性,嘔吐などの非特異的症状が先行するタイプまで存在する。特に,前者においては迅速な治療介入が望まれる。
□細菌性髄膜炎の3徴は,発熱,項部硬直,意識障害である。加えて,嘔吐,嘔気,食欲低下,頭痛,易刺激性,けいれん,錯乱などがある。乳児で大泉門膨隆がみられる。実際にはこれらの症状がすべてそろうことはなく,これらのうちの幾つかが認められるにすぎない。
□3カ月未満,特に1カ月未満では発熱以外に症状がはっきりしないことが多いので,積極的に細菌性髄膜炎を鑑別することが推奨されている。
□熱性けいれん診療ガイドライン2015では,有熱時発作を認め救急受診した場合に,髄液検査をルーチンに行う必要はないとされている。髄膜刺激症状,30分以上の意識障害,大泉門傍流など,細菌性髄膜炎をはじめとする中枢神経感染症を疑う所見を認める例では,髄液検査を積極的に行うと記載されている。
□髄液検査前にCT検査をするのが望ましいが,小児ではCT正常でも髄液検査後の脳ヘルニアのリスクがあると言われている。
□発熱や項部硬直などによって細菌性髄膜炎が疑われ,さらに視神経乳頭浮腫,瞳孔散大や固定,除脳・除皮質肢位,チェーンストークス呼吸,眼球偏位などで脳ヘルニアが疑われる場合には髄液検査は禁忌である。速やかに抗菌薬の投与を行う。
□髄液が取得できていない場合はもちろん,取得できていても血液培養を行う。
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