□熱性けいれん(febrile convulsion)は,主に6~60カ月までの乳幼児期に起こる。通常は38℃以上の発熱に伴う発作性疾患で,髄膜炎などの中枢神経感染症,代謝異常,そのほか発作の原因がないもので,てんかんの既往のあるものは除外される。日本人の8%程度が熱性けいれんを経験するという報告があり,諸外国よりも罹患率が高いと言われているが,基本的に良性疾患である。
□発作の多くは全身性強直けいれんや,強直間代けいれんであるが,けいれんを伴わずに一点を見つめるだけの発作や,脱力を呈する症例が一部にみられる。
□発作の多くは5分以内におさまり,一般的に後遺症の心配はない。
□有熱時の発作を引き起こす疾患の除外により診断するため,熱性けいれんに特異的な検査所見はない。
□髄膜炎や急性脳炎・脳症を鑑別するために,髄液検査は重要である。ただし,有熱時発作患者での中枢神経感染症の頻度は低いため,意識状態を含む神経学的所見,髄膜刺激症状などを考慮して腰椎穿刺の適応を決定する1)。
□発作後麻痺がある場合や,焦点性発作や遷延性発作の場合などは頭部画像検査を考慮するが,急性期異常は検出されないことが多い。
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