□睡眠中に訳もわからずに恐怖を感じて突然起き上がり,パニック状の叫び声を上げたり泣き出したりする。夜驚症(sleep terror disorder)は,3~10歳の小児期にしばしばみられ,その有病率は1~5%と言われている。思春期頃までに自然消失し,成人では有病率が1%未満である。
□病態生理の詳細はわかっていないが,中枢神経系の未熟性との関連が言われている。遺伝的要素が強い。
□夜驚症は,DSM-51)では睡眠時に付随して起きる異常行動や生理的問題である睡眠時随伴症群に分類されている。
□ノンレム睡眠期,特に徐波睡眠期に症状は出現し,レム睡眠期にはほとんど出現しない。そのため深睡眠段階の割合が高い夜間睡眠の前半1/3~1/2(多くは入眠1~2時間後)に出現することが多い。
□睡眠中に突然起き上がって強い恐怖を示し,大声を出して激しく啼泣する。発汗,頻拍などの交感神経系の興奮が目立ち,その間に覚醒させたり,なだめたりすることは困難である。多くは10分以内に消失し,翌朝目覚めたときには本人にその記憶はない。
□夜驚症に特異的な医学的検査所見は得られていない。鑑別診断としては,錯乱性覚醒,睡眠時遊行障害,悪夢障害,レム睡眠行動異常症,てんかんなどが挙げられる2)。鑑別に絶対的な基準はなく,発現睡眠段階,発現時期や自律神経症状,想起,家族歴の有無などを鑑別点として総合的に判断する。
□てんかんとの鑑別のためには脳波検査が必要になる。
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