編著: | 古森公浩(名古屋大学大学院医学系研究科 血管外科学分野 教授) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 256頁 |
装丁: | 2色部分カラー |
発行日: | 2020年03月10日 |
ISBN: | 978-4-7849-6274-7 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
末梢動脈疾患(peripheral arterial disease:PAD)は近年増加しており,また診療ガイドラインの変遷とともに治療戦略も様変わりしています。
PADに対する血行再建術には,
・血管内治療(endovascular treatment:EVT)
・外科的手術(open surgery:OS)
・EVT とOS を組み合わせたハイブリッド治療
があり,PADに携わる医師はこの3手技すべてに精通することが要求されます。
本書は,これら3手技を網羅するとともに,動画でも見られるようにした本邦初の書籍です。血管外科医,循環器内科医,放射線科医など,PAD治療に携わる先生方の参考書として最適です。
総 論
1︱各ガイドラインからみた血行再建の適応
2︱わが国のエビデンスからみた血行再建の適応
3︱下肢動脈の解剖①―腹部(骨盤内),大腿,膝上膝窩動脈
4︱下肢動脈の解剖②―膝下膝窩動脈,下腿三分枝,足部
5︱血管内治療 総論
6︱外科的治療 総論
7︱血管内治療 術後管理と再治療の適応―跛行肢,重症虚血肢
8︱外科的治療 術後管理と再治療の適応―跛行肢,重症虚血肢
各 論
1︱血管内治療①―大動脈―腸骨動脈(慢性完全閉塞病変)
2︱血管内治療②―大腿膝窩動脈
3︱血管内治療③―下腿動脈
4︱血管内治療④―足部動脈(foot vessels;below―the―ankle intervention)
5︱外科的治療①―大動脈―腸骨動脈
6︱外科的治療②―大腿膝窩動脈(バイパス)
7︱外科的治療③―下腿動脈
8︱外科的治療④―足部末梢バイパス術
9︱ハイブリッド手術①―腸骨動脈ステント挿入,大腿―膝窩動脈バイパス (iliac stent+FP)
10︱ハイブリッド手術②―FP EVT+distal bypass
11︱血管内治療術中のトラブルシューティング
12︱外科手術中のトラブルシューティング
13︱その他の外科的バイパス①―閉鎖孔バイパス
14︱その他の外科的バイパス②―腋窩―大腿動脈バイパス術
15︱その他の外科的バイパス③―大腿―大腿動脈バイパス術
末梢動脈疾患(peripheral arterial disease:PAD)は年々増加している。特に日本では,欧米に比べて糖尿病合併,透析合併の閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans:ASO)が多いのが特徴である。
PAD に対する治療ガイドラインは2000 年のTASC 以来,2007 年TASCⅡ,2017年ESC/ESVS ガイドライン,日本では日本循環器学会より2009 年,そして2015年改訂版,2016 年ACC/AHA ガイドラインが,さらには2019 年に全世界的なGlobal Vascular Guideline が報告された。また2017 年に報告されたESC/ESVS ガイドラインでchronic limb‒threatening ischemia(CLTI)という新しい概念が提唱された。
CLTI は従来の重症虚血肢(critical limb ischemia:CLI)を含みながらより広い虚血肢を対象とすることから,日本血管外科学会で“包括的高度慢性下肢虚血”と訳すことに決定した。
ガイドラインの変遷とともにPAD に対する治療戦略も様変わりしてきた。PAD に対する血行再建術には血管内治療(endovascular treatment:EVT)と外科的手術(open surgery:OS),さらには,EVT とOS を組み合わせたハイブリッド治療がある。PADに携わる医師はEVT,OS そしてハイブリッド治療すべてに精通することが要求される時代が到来している。
これまでにPAD に対する血行再建術に関するEVT,OS そしてハイブリッド治療についての系統だった解説書はほとんどない。本書では“血行再建術”を総論/各論に分けて,日本を代表する先生方に執筆をお願いした。総論では2019 年に報告されたGlobal Vascular Guideline を含んだガイドラインの解説,EVT とOS の総論,そして術後管理と再治療の適応について,そして各論では病変部位別のEVT,OS,ハイブリッド手術,そしてトラブルシューテイングを掲載している。特筆すべきは,治療法を動画で観ることができる点である。もちろん,本書を熟読し動画を観るだけで上達するわけではなく,実際の手術,日頃の修練が大事であることは言うまでもない。血管外科医,循環器内科医,放射線科医などPAD 治療に携わる方々の,実際に治療を行う際の参考書として,本書が皆様の日常診療に役立つことができれば幸いである。
2020 年2 月
古森公浩