日本外科学会学術集会の特別企画「外科医の働き方改革─現状と改善方策」が5日、都内で開かれ、周術期管理のPA(physician assistant)を創設して、タスク・シフティング(業務移管)を推進する必要性が指摘された。
登壇した西田博氏(ねりま健育会病院)は、2015年10月に施行された「特定行為に係る看護師の研修制度」の問題に言及。制度創設に向けた議論の中で様々な反対意見が反映されたことで「中途半端な制度になった」との認識を示すともに、病院看護部の中も「ミニドクターとなり、医師の過重労働の穴埋めとなることを嫌がる」と指摘。国家資格ではなく能力認証制度でもないことも問題視した。
その上で今後タスク・シフティングを進めるためには特定行為を増やすのではなく、「周術期PAの確立に向けて新しい枠組みが必要」と提案し、先駆事例として、奈良県立医大で臨床工学技士を対象に麻酔アシスタントが養成されていることを紹介した。また、特定行為の研修制度の議論を踏まえ「日本医師会が反対する制度はできないと学んだ」と述べ、日本外科学会、日本医学会などが日本医師会と恒常的に話し合う場を作る必要性も指摘した。