厚生労働省の先進医療会議は5日、医療法人徳洲会東京西徳洲会病院から申請された、腎摘出術による病気腎(小径腎腫瘍)を用いた修復腎移植術を「先進医療」とすることを認めた。ドナーの適合性の判断とレシピエントの選定について関係学会推薦の外部委員が参加して検討することを条件とする。早ければ8月にも先進医療として告示される。
先進医療は、将来的な保険導入の評価を行うために保険診療との併用を認める制度。
会議に先立ち、下部組織の先進医療技術審査部会が事前に病気腎移植に関する総合判定を行い、「条件付き適」と評価した。総評として「移植のためにドナーに過大な侵襲をあたえたり、がんの根治性を損なうようなことのないよう、細心の配慮が必要」「レシピエントの選定についても客観性と公平性を担保する必要がある」と指摘。その上で、「本技術の適応決定や実施にあたっては、高度の技術と専門知識を持った優れたメンバーから構成された修復腎移植検討委員会による慎重な検討が必須であり、ドナーの適格性判断のみならず、レシピエントの選定にも関係学会が推薦する外部委員が参加すべき」と要請した。これを受けて会議では、技術審査部会の評価結果通りとすることで一致した。
修復腎移植検討委員会でドナーの適格性を判断する外部委員としては、すでに日本泌尿器科学会と日本移植学会が計2名の外部委員を推薦しているが、今後、申請医療機関はレシピエントの選定に関しても外部委員の参加を関係学会に要請することとなる。
厚労省によると、病気腎移植の臨床研究は2009年9月~16年1月までに13例実施。術後5年を経過している11例のうち、7例が腎生着、2例が腎機能廃絶、2例が転帰不明となっている。
保険収載に向けた先進医療では、試験期間を登録期間4年、観察期間5年の9年間とし、被験者数を42例とした。ドナーの選択基準は「小径腎腫瘍(7cm以下)のうち医学的に腎部分切除が困難で腎摘が必要な患者」。レシピエントの選択基準は「透析治療中で慢性透析治療の維持が困難な腎移植希望者」とした。
申請医療機関の東京西徳洲会病院、協力医療機関の宇和島徳洲会病院はいずれも腎摘施設および移植施設とするが、ドナー提供施設では同時に移植はしない。今後、腎摘に限った協力医療機関として、中部徳洲会病院、南部徳洲会病院、山形徳洲会病院、武蔵野徳洲会病院、坂出聖マルチン病院が参加する予定。
病気腎移植は2012年に先進医療の審議が行われたが、その際は「透明性、公平性、医学的妥当性が不十分」との判断で承認がされなかった。2016年に再申請がなされ、これまで継続審議が続いていた。