外科系108学会が加盟する外科系学会社会保険委員会連合(外保連)は9日に開いた記者懇談会で、2020年度診療報酬改定に向けて405項目の要望を申請する方針を明らかにした。岩中督会長は、8月に予定される厚生労働省のヒアリングに臨むに当たり、「これまでは高難度の手術の点数が重点的に上げられてきたが、地域の医療機関が疲弊しないよう、今回は地域で主に行われている普遍的な手術を中心に見直してほしいと思っている」と述べ、地域医療の安定性を確保する観点から、低難易度の手術を含めた増点を求めていく考えを示した。
要望予定の405項目は83学会から寄せられた意見を集約したもの。内訳は新設164項目、改正207項目、材料34項目。外保連は改定ごとに、学術的根拠に基づき手術に関する診療報酬点数案をまとめた「外保連試案」を作成している。「試案2020」は11~12月頃に公表される見通し。
岩中氏は、前回の18年度改定では実際の手術料と外保連試案の乖離が大きい術式や、手術料に占める材料費の割合の大きい術式が中心に引き上げられたものの、「まだ積み残しがある」との認識を示した。瀬戸泰之実務委員長は、人件費や償還不可材料費が診療報酬点数を上回っている手術項目が「まだまだある」とし、引き続き不均衡の是正を求めていくとした。
このほか外保連では、18年度改定で実現しなかった「手術・処置の休日・時間外・深夜加算」の施設基準緩和などを再要望する。