日本外科学会は19日、看護師の特定行為研修制度における「パッケージ研修」の修了者を増やすことを通じて、タスクシフティングによる外科医の過重労働軽減につなげていく方針を明らかにした。4月に大阪市で開催される定期学術集会で特定機能病院を対象にした説明会を実施し、指定研修機関になるための申請を促す考え。
19日に開かれた外科系学会社会保険委員会連合(外保連)の記者懇談会で、外科学会の馬場秀夫理事(熊本大大学院消化器外科学教授)が説明した。
パッケージ研修は、個別の特定行為ごとに研修を受ける必要があった従来の研修内容を効率化したもの。「外科術後管理」「術中麻酔管理」「在宅・慢性期」の3領域について、各領域で関連性の高い特定行為と研修をパッケージ化し、研修時間を短縮した。医師にとっては特定行為の群ごとに手順書による包括的指示を出せるようになり、タスクシフティングも進めやすくなると期待される。
特定行為研修を修了した看護師は、昨年3月末時点で約1000人にとどまっている。厚生労働省は2020年度からパッケージ研修をスタートさせ、23年度末までに1万人程度の養成を目指すとしている。
馬場氏は「1万人」の目標について「これくらいの数を養成できなければ、外科医の労働環境改善にはつながらない」と強調。4月20日に開く学術集会での説明会などを通じて「なるべく多くの特定機能病院に指定研修施設になってもらい、その病院の看護師に研修を受けてもらうことで、短期間に養成できればと思う」と述べた。