編著: | 櫛橋民生(昭和大学横浜市北部病院放射線科教授) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 152頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2003年05月25日 |
ISBN: | 4-7849-4216-5 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
臨床で遭遇する頻度の高い疾患を中心に症例を厳選し、31問収載しました。胸部X線は臨床での診断に欠かすことのできない基本の検査です。その読影がしっかりできるようになるには、まず「画像に慣れる」こと。設問にチャレンジしてから解説を読めば、より一層印象深く学べ、理解も進みます。ぱっと読影ができるようになるまで、何回もチャレンジしてみて!ポイントをしっかり押さえたわかりやすくコンパクトな解説が魅力です!
「六日の菖蒲」または「十日の菊」という言葉があります。時期に遅れて役に立たない物事のたとえですが、やはり画像診断の勉強にも最適な時期というのがあると思われます。確かに胸部単純X線写真は、含気の多量な肺組織、心大血管の軟部組織、脊椎や肋骨などX線透過性が大きく異なる構造物が複雑に重なり合っており、説明の難しい部位です。誰でも簡単にシャーカステンにかけて(またはモニター上で)眺めることはできますが、正確に見る(読影する)のはなかなかむずかしいのが胸部単純写真です。医学部の高学年から卒後数年のうちに、しっかり勉強しておくべきもののひとつと思います。確実な知識を身につけておかないと、何となくわかったような気になっても、自信が持てずに年を経てしまいます。経験豊富な医師になってからでは、「格好悪くて今更勉強できないよ」となってしまう最たるものなのです。
しからば、何をどうしたら、胸部写真の読影がある程度可能となるのでしょうか。私の意見は、胸部写真を読影してみようという興味を持つことが一番大切だと考えます。縦隔病変だと指摘できれば、その分布などである程度鑑別診断が挙げられるではないか、また、びまん性肺疾患もその分布や間質性、肺胞性かの区別である程度疾患がいえるではないか、などと思い始めたらしめたものです。この本は、その点を引き出そうとして書いたものですから、どこから読み始めても良いようになっています(成書も序文、生理・解剖、正常と順に読んで行くと、本文に入る前にいやになります)。本書の単純写真だけでも眺めていて、胸部写真の読影に興味を持つ方が一人でも増えれば、と期待しています。
今がその学ぶ時期として最適であることを認識し、「五日の菖蒲」、「九日の菊」になることを望みます。
2003年 3月
櫛橋 民生